5月4日(土)、富士スピードウェイでスーパーGT第2戦の決勝レースが行なわれた。初の3時間フォーマットとして開催された今回のレースを制したのは、GT500クラスが3号車Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)、GT300クラスが88号車JLOC Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)だった。

 スーパーGTのゴールデンウィーク恒例となる富士決戦。シーズンの中で最も観客を集めるレースということもあって、グランドスタンド、パドック共に賑わいを見せた。今回は今季から導入された3時間レースが初めて行なわれるということもあり、各車がどのような戦略を採るかも注目された。周回数は120周弱となることが想定され、規則により給油を伴うピットインを2度実施する必要がある。

 決勝レースは快晴のドライコンディション。13時30分にスタートが切られた。

■GT500クラス

 GT500の予選で速さを見せたのはホンダのシビック・タイプR-GT。ポールポジションを獲得したのは17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTで、今季デビューのシビックにとっても初ポールとなった。2番手、3番手には3号車Niterra、23号車MOTUL AUTECH ZとNISMO勢が続き、トヨタGRスープラの最上位は14号車ENEOS X PRIME GR Supraの7番手であった。ただ14号車は予選でタイヤにダメージがあり、スタート時にタイヤを4本交換してピットからのスタートとなった。

 スタートでホールショットを奪ったのは3号車Niterraの高星。17号車Astemo塚越広大、23号車NISMO千代勝正と続いた。レース序盤は上位陣の隊列が大きくばらけることなく、概ね等間隔だったが、徐々にトップ3台と4番手以下の差が広がっていった。

 しかし2番手の17号車Astemoの塚越は、トップからやや置いていかれるようになる。開始35分(23周目)には、23号車NISMOの千代が17号車をオーバーテイクし、2番手に浮上。これでNISMOのワンツーとなった。

 レース開始から50分を経過しようというところ、ついにピットが動いた。30周を走ってピットインした16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTを皮切りに、各車が続々と最初の給油とタイヤ交換を行なった。ドライバー交代はせず、スタートドライバーがダブルスティントをこなすチームも多かった。

 レースの3分の1が経過。40周でトップの3号車Niterra、そして39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraがピットインしたことで、全車が1回目のピットストップを終えた。トップは変わらず3号車で、17号車Astemoは23号車NISMOから2番手を奪取。以下8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT、12号車MARELLI IMPUL Z、36号車au TOM'Sと続いた。

 レース折り返しの1時間半が経過して、トップの3号車Niterraは高星明誠のドライブで、後続に対して20秒近い差をつけるなど、完全な独走状態となった。なお3番手争いでは8号車ARTAが23号車NISMOを交わし、表彰台圏内に上がった。

 70周以上を走り、レース時間が残り1時間が近付くタイミングで、各車2回目かつ最後のピットに。これで上位のオーダーは3号車Niterra(三宅)、23号車NISMO(千代)、8号車ARTA(松下信治)、17号車Astemo(太田格之進)という順となった。3号車は後続に30秒以上の差をつけて引き続き独走状態、そして2〜4番手の3台は接近した争いとなった。

 その後23号車NISMOはそこから抜け出し、3番手争いが白熱。17号車Astemoの太田は8号車ARTAの松下を再三攻め立て、何度もホームストレートでサイドバイサイドとなったが、松下はその度に抑えきり、表彰台圏内を死守した。

 しかしそんな8号車ARTAに悲劇が。残り10分を切って突然スローダウンし、ガレージにマシンを収めたのだ。ARTAは16号車もトラブルでリタイアしており、散々な1日となった。

 3号車Niterraは盤石のリードを保ってトップチェッカー。今季1勝目を飾った。2位は23号車NISMOで、NISMO勢のワンツーフィニッシュとなった。3位は17号車Astemo、スープラ勢最上位は36号車au TOM'Sで、堅実な走りでポイントリーダーの座をガッチリキープした。

 なおチェッカー直後には、64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTのリヤカウルがホームストレート上で脱落するというハプニングもあったが、チェッカー後ということもあり、後続の車両の事故などには繋がらなかった。

■GT300クラス

 GT300クラスは、今回の富士戦に向けてボンネットのフィンをアップデートしてきた88号車JLOCが圧倒的な速さを見せポール獲得。2番グリッドは4号車グッドスマイル 初音ミク AMG、3番グリッドは56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rと、開幕戦岡山でブリヂストンタイヤ勢が活躍したのとは対照的にヨコハマタイヤ勢が躍動した。前戦ウイナーの2号車muta Racing GR86 GTは5番グリッドからスタートする。

 なお、開幕戦では車両製作が間に合わず出走を見送った11号車GAINER TANAX Zは、今回のレースでデビューを果たした。予選はQ1 A組で富田竜一郎が4番手のタイムをマークするなど速さを見せたが、Q2はシフトトラブルでノータイム。規定により決勝はピットスタートとなった。

 スタートでは88号車JLOCが首位をキープ。4号車グッドスマイルが続き、2号車mutaが3番手に上がってきた。予選から好調な88号車は元嶋は快調に飛ばし、15分(8周)が経過する頃には後続に5秒以上のギャップを作っていた。

 開始25分ごろ、11号車GAINERがストップ。これによりフルコースイエロー(FCY)が出されたが、2分ほどで解除となった。なお11号車は後にレース復帰を果たしている。

 88号車JLOCの独走が続く中、開始30分ごろにはポイント争いをしていた31号車apr LC500h GTがピットイン。ここでは給油だけを行ない、レースを通してタイヤ交換1回とする作戦を敢行した。その他87号車METALIVE S Lamborghini GT3は左側の2輪だけを交換するなど、戦略は分かれた。

 2番手だった4号車グッドスマイルは28周、トップの88号車JLOCは33周でピットイン。これでトップになった2号車mutaはステイアウトを続けた。レース開始75分、45周を走った2号車はピットに。開幕戦はタイヤ無交換で優勝した2号車だが、1回目のピットストップではタイヤを4本交換し、ドライバーも平良響から堤優威に交代してフルサービスでコースに戻った。

 これで再びトップは88号車JLOCとなり、給油のみのストップで順位を上げた31号車aprを挟んで、4号車グッドスマイル、65号車LEON PYRAMID AMGと続き、レースは折り返しを迎えた。なお2号車mutaは8番手に下がった。

 31号車がフルサービスのピットストップをして順位を下げると、代わって2番手に上がった4号車グッドスマイルも107分ごろにピットイン。同じ周でピットに入った52号車Green Brave GR Supra GTはここではタイヤを交換せず、4号車の前に出ることに成功した。

 そして開幕戦から2戦連続での表彰台も視野に入っていた65号車LEONが、残り45分ごろでまさかのトラブル。ガレージにマシンを収めるのを尻目に、再びステイアウトによりトップに立っていた2号車mutaが最後のピット作業に入った。2号車はここでもタイヤを4輪交換し、8番手(事実上の6番手)でコースに復帰した。

 全車が2度目のピットストップを終えると、再び88号車JLOCがトップに復帰。引き続き後続には15秒以上の大差を築いていた。2番手はタイヤ1回交換の52号車Green Braveで、その後方に4号車グッドスマイル、56号車リアライズが迫る展開になった。特に4号車を交わして3番手に上がった56号車のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラには勢いがあり、52号車の吉田広樹と激しいバトルを繰り広げた末、2番手に浮上した。

 88号車JLOCを駆る小暮は最後までリードを守り切りトップチェッカー。ポール・トゥ・ウインで一挙23点を追加した。2位は56号車リアライズ、3位は52号車Green Braveだった。

 なお、開幕戦ウイナーの2号車mutaは6位。獲得ポイントを27として、88号車(26点)を上回ってポイントリーダーの座を守っている。