ポルトガルで開催されているWRC(世界ラリー選手権)の第5戦。大会3日目には、優勝を争っていたトヨタのカッレ・ロバンペラ、勝田貴元が共にデイリタイアを喫する波乱の展開となった。

 ラリー・ポルトガルの序盤では勝田が躍動し、2日目の午前までラリーをリードしてみせた。午後にはロバンペラに首位の座を譲ったものの僅差で食らいつき、2日目を終えた時点ではロバンペラと3.7秒差、そしてセバスチャン・オジェ(トヨタ)と2.7秒差の3番手。勝田は「自分自身のドライビングに関しては完全に満足のいくものではありませんでした」としつつも、トップと僅差の3番手で2日目を終えられたことには満足すべきだろうと語っていた。

 そして迎えた3日目(SS10〜SS18)は路面変化の大きいコンディションということもあり、ドライバーたちにとっては厳しい1日となった。SS11では、SS10で最速タイムを記録していた総合首位ロバンペラが木の切り株に当たって横転。これによってデイリタイアとなってまい、優勝争いから脱落した。そして続くSS12では勝田もマシンを土手に当ててしまい、リヤサスペンションにダメージを負ったことでこちらもデイリタイアをせざるを得なかった。

 これにより、3日目を終えての首位はオジェに。オジェから11.9秒差の2番手にヒョンデのオット・タナク、タナクから59.5秒差の3番手に同じくヒョンデのティエリー・ヌービルが続いている。

 勝田もロバンペラも、マシンを修復した最終日のラリーには復帰する予定。勝田は厳しい結果になった3日目を振り返り、トヨタのプレスリリースに次のようにコメントした。
 
「予想していたように、今日のステージは路面に砂が多くありました。それでもクルマの調子は良く、気持ちよく運転することができていました」

「最初の2本のステージに関しては、ペースをコントロールしながら走っていましたが、リズムはあまり良くありませんでした。しかし、3本目のステージはフィーリングが非常に良く、全てをコントロールできているように感じられたので、序盤から攻めていきました」

「ところが、あるコーナーで僅かにラインが外れ、少しワイドに膨らんでしまい外側の土手にぶつかってしまいました。そこまでペースは良かったですし、さらにプッシュできるくらいの余裕もあったので、とにかく残念でなりません」

「この状況を受け入れるのは難しいですが、これがラリーというものです。何が悪かったのかをきちんと理解した上で、前に進むしかありません。まだ明日もあるので、プッシュし続けるつもりです」

 なお現在のWRCのポイントシステムでは、デイリタイアを喫して総合順位争いからは脱落したドライバーでも、最終日に出走して速さを見せれば多くのポイントを獲得することができる。最終日のみのタイムでトップとなったドライバーには7点、最終パワーステージで最速となったドライバーには5点が与えられる。