地方議会の担い手不足は、全国的な課題となっています。任期満了に伴う熊本県のあさぎり町議選が、16日告示され、町として初めて無投票当選となりました。

 町選挙管理委員会によりますと、定数14の議席に対して現職12人、新人2人のあわせて14人が立候補し、全員の無投票当選が決まりました。

 2003年の平成の大合併で町が誕生して以来、初の無投票となりました。

 増える地方議会選挙の無投票―。全国町村議会議長会が、今月まとめた報告書によると、全国の町村議会の選挙は、去年4月までの4年間で全町村の約27%にあたる254町村が無投票になりました。2019年までの4年間と比較すると、50町村増えています。このペースで進むと、2027年までの4年間で34%の町村が無投票になります。

 議会の無投票は県内でも広がっています。KABが県内の全市町村に取材したところ、2015年の統一地方選以降で無投票があった自治体は、3分の1にあたる16市町村にのぼりました。

 2022年には、菊池市が2005年の合併で誕生して以来、初めて無投票に。市議の一部からは定数削減も検討すべきという声が上がっています。

 議会を身近に感じてもらおうと模索する地方議会もあります。山鹿市議会は去年から市内すべての小学校に市議会議員が出前授業に出向き、議員の仕事を解説するほか、子どもに模擬投票をしてもらう取り組みを行っていて、5月にも開催を予定しています。

 地方議会で無投票が広がっている要因について、今井亮佑崇城大教授は「地方議員は報酬が低く、平日の日中に議会があって兼職も難しいので、若い世代にはリスクが大きい面がある。自分が何を言っても変わらないという政治全般への関心の低下が根本的な要因ではないか」と指摘し、今後、オンライン議会の導入など柔軟な対策が必要としています。

 また、無投票は、市町村長へのチェック機能を弱める恐れがあると問題点を指摘しています。