全国町村議会議長会の検討会(委員長・江藤俊昭大正大教授)は8日、議員なり手不足の報告書をまとめた。立候補者が集まらず、無投票が起きる要因を詳しく分析したのが特徴で、地域活動を支える自治会の弱体化や家族の反対などを挙げた。現状のままでは2023年5月〜27年4月にある町村議員選挙で、無投票の割合が34.1%に上昇するとの推計も示した。

 報告書は「なり手不足の原因は複雑で多岐にわたる」とした上で、人口減少や東京一極集中により、議員の供給源となってきた自治会、農協などの減少・小規模化が影響していると指摘した。さらに民間の定年引き上げで「定年後に議員を引き受ける気力や体力が残っていない」とした。

 「自分から進んで立候補するのはおこがましい」といった保守的な価値観のほか、地域の有力者が難色を示すことで立候補を断念する場合もある。小規模町村で立候補すると家族や親族も注目されるため、反対されることが多く「並大抵ではない覚悟が必要になる」と言及した。