林業を身近に感じてもらうため、東北森林管理局(秋田市)が作った対戦型カードゲーム「ZORING(ゾーリン)」がひそかに人気を集めている。「遊びながら森林づくりに考えを深められる」といった口コミが広まり、全国から問い合わせがあった。管理局は、ホームページ(HP)で公開を始めた。

 ゾーリンは「苗の植え付け」や「間伐」、伐採した木材を出荷する「主伐」など14種類98枚で構成されている。プレーヤーがカードを任意で引いて造林の工程通りに並べ、事業の完成度を競う。勝敗は進展具合に応じた得点で決まる。
 木々や山林に被害を及ぼす「シカ」や「病虫害」、「山火事」などの攻撃札を使い、ライバルの造林を邪魔することもできる。対抗手段として、シカを撃退する「ハンター」などの防御札もある。攻守を繰り返し、森林造りの難しさを知る。
 昨年11月に岩手県内の小学校の地域学習で使用すると、児童から「森林管理の流れを初めて知った」「森づくりは奥が深い」との声が寄せられた。交流サイト(SNS)で知ったという兵庫県の小学校や栃木県のキャンプ場からも問い合わせがあり、管理局は「全国で活用してほしい」とHPでの公開を決めた。
 制作担当の盛岡森林管理署の谷沢風音(かざね)さん(25)は「山火事や豪雨で造林に失敗して泣き出す児童もいたほど夢中になってくれた。座学では見られなかった姿で、幅広い世代が林業に関心を寄せるきっかけになってほしい」と期待する。