2023年に80歳の傘寿を迎えた上方落語界の重鎮・桂文枝が、81歳を迎える前日となる7月15日に『傘寿を越えて 文枝自選集 華麗なる独演会』を開催する。4月18日に、公演会場の「なんばグランド花月」(大阪市中央区)で会見を開き、その内容と、華やかなゲスト落語家を発表した。

現役の落語家のなかでも、もっとも積極的に創作落語に挑み、現時点で300以上の持ちネタがある文枝。今回はそのなかから『妻の旅行』『涙をこらえてカラオケを』という人気の噺に加えて、新作『約束』をネタおろしする。またゲストとして、女性落語家としては初の抜擢真打となった林家つる子と、『探偵! ナイトスクープ』の探偵としてもおなじみの桂二葉という、気鋭の女性落語家が脇を固めることに。

新作の『約束』は「60年ぶりに日本に帰ってきた男が、帰国後初めて会った女性との、交わしたわけでもない約束を守ろうとする噺」という、少し謎めいたストーリー。自選2席のうち、人間の死を扱った『涙をこらえてカラオケを』は、文枝の妻と母が逝去して以来封印していたもの。「(逝去から)3年が過ぎたから、そろそろやっても許してくれるかなあと思いました」と、解禁の心境を明かした。

80歳となっても「創作落語500作が目標で、それが生きがい」と意欲まんまん。さらに「噺を作るときは、あまり流行を追わない、人を傷つけない、下ネタは使わないというのを心がけてきました。時代が変わってきているなか、これからはハートフルな落語を、できるだけたくさん作りたいなあと思っています」と宣言した。チケットは前売5500円、当日6000円で、4月27日から発売開始。

取材・文・写真/吉永美和子