落語家・桂文枝(80)が18日、大阪ミナミの「なんばグランド花月」で落語会「傘寿を越えて 華麗なる独演会」(7月15日)の開催発表会見に出席。「80歳を越えてますます元気。(創作落語)500作を目指すところをみてもらいたい」とライフワークとする創作落語への思いを語った。

 1943年7月16日生まれの文枝は現在80歳。81歳の誕生日を迎える前日の同15日に「傘寿」に別れを告げる落語会を企画した。自作の創作落語は現時点で336作。その中から代表作である「妻の旅行」「涙をこらえてカラオケを」と新作の「約束」の3席を演じる。

 特に注目は「涙をこらえてカラオケを」だ。21年1月末に、女手ひとつで育ててくれた母・治子さんが99歳で、妻・真由美さんが67歳で相次いで亡くなり「それ以来、人が死ぬという噺は封印していた」という。独り身になった男性の健康面、喪失感を心配していたが「3年経って、そろそろ(人が死ぬ)ネタをやっても許してくれるかなと」と封印を解くことを決めた。

 健康面を以前より考えるようになった。元気に活動する大村崑(92)を引き合いにだし「大村崑先生にお会いして、お元気にされていて」と自分より一回り上の先輩に触発された。

 1カ月前からウオーキングを始め、1日5000歩以上歩く。ウオーキング後、自宅近くのカフェにも行く。新作も練り、ネタを作り上げる。「80歳になって、今までやったことないことで新たな発見も。以前より稽古するようになりましたね。わすれることが多いから」。食事も朝からしっかり。「“まごはやさしい”ですね。豆、ゴマ、ワカメに野菜、魚とシイタケ、芋を毎日。全部が入ったふりかけを、チンしたご飯にかけて」と笑いを交えて説明した。

 普遍的なこと、身の周りで起こること、人を傷つけない、下ネタは使わないなど、ずっと心がけてきた創作落語への思いは変えない。「傘寿を越えて米寿、卒寿も。500作を目指すのが生きがいですね。ハートフルな噺をできるだけたくさん作っていきたい」と決意。

 ゲストは3月に真打ちに昇進した林家つる子(36)、桂二葉(37)という人気女流落語家2人。「文枝の枝に2つの花が咲く。2人に助けていただいて、華々しく」と自身も共演を楽しみにしている。