「戦前のこと?」「外国の話?」3食きちんと食べていても低栄養になるってホント?【70歳からおいしく栄養がとれる食事のくふう】 食べているつもりでも低栄養状態の可能性があります

「低栄養」という言葉を聞いたことがありますか? 飽食の現代では「戦前のこと?」「外国の話?」と思いがちですが、これは現代の日本の高齢者に多くみられるものです。文字通り、加齢によって食欲が低下し、かむ、飲み込む、消化するなどの体の機能が落ちることによって栄養がとれなくなっている状態のことをいいます。体調がとても悪い、経済的な問題などから食事の回数や量が減っている場合だけでなく、毎日3食きちんと食べていても低栄養になっているかたが、実はとても多いのです。

食べているつもりでも低栄養状態の可能性があります

私たち栄養士が「低栄養」と判断するときは、血液検査の結果なども踏まえて検討しますが、自分でもわかるポイントがあります。体重が減ってきて、今までの食事量では食べ切れず、少しずつ残すようになることです。もし身近な家族の栄養状態を確かめたいときは、次のことを調べてみてください。

・背中を触ると骨ばっている

・握った手を握り返す力が弱くなっている

・舌が白くなっている

・口の中に食べ物が残っている

・今まで片づいていた部屋が散らかっている

・起床時間や食事がバラバラになっている

些細なことが、低栄養の片鱗だったりします。低栄養であるということは、心身の健康が維持できなくなっていることで、病気になりやすく、介護状態につながる可能性があります。

食べているつもりでも低栄養状態の可能性があります2

【出典】『70歳からおいしく栄養がとれる食事のくふう』
監修:特定非営利活動法人 京都栄養士ネット  日本文芸社刊

監修者プロフィール
訪問栄養食事指導で地域の皆様の健康と栄養をサポートする管理栄養士のグループ。メンバーは京都府栄養士会の会員。2018年9月に認定栄養ケアステーションの認定を受け、京都府全域で訪問栄養指導を中心とした活動を行っている。2021年10月より機能強化型栄養ケアステーションに移行認定。在宅で療養されている方を訪問して、その方にあった食事の作り方やどの程度栄養量が摂れているか何を補えばよいかなどを、その方の嗜好や生活環境を大事にしながら、一人ひとりその人にあった形で提案し、実践してもらえる支援を目指し、多職種と連携し活動している。