「将来〇〇になりたい!」と夢や目標を持つのはいいことのはずですが、「〇〇になって大成功」している姿をイメージしているだけではうまくいかないようです。今回、大目標を成し遂げるコツを教えてくれるのは、『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』著者で、「5つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家」の石川和男さん。簿記知識ゼロの社会人1年目から税理士試験に合格した経験を例にあげ、確実な成功術を伝えています。

大成功をイメージすると…詰む

大成功をイメージすると詰む。ブラック企業に勤めていた当時の私の最終目標は、税理士になることでした。しかし、最初から税理士試験の勉強をしていたわけではありません。はじめから大きな目標だと、挫折してしまう危険性があるからです。

イギリスのハートフォードシャー大学教授で、プロマジシャンとして活躍していたリチャード・ワイズマン氏は著書『その科学が成功を決める』(木村博江訳/文藝春秋)で「成功する自分をイメージする方法はむしろ逆効果」といったことを言っています。

例えば、学生を2つのグループに分けて、片方のグループには、試験で良い点数を取った最高のシーンを毎日イメージしてもらう。もう一方のグループには、何もイメージしてもらわず、いつものように試験勉強をしてもらいました。その結果、なんとイメージしなかった後者のほうが、点数が高かったのです。

また、ダイエットに参加した女性グループでは、痩せている自分をイメージしながら過ごしたグループより、イメージしなかったグループのほうがダイエットに成功したそうです。さらに就職活動でも、成功イメージを想い描いたグループより、描かないグループのほうがうまくいったという結果になりました。

ワイズマン氏は、原因として次の2つをあげています。

現実逃避をして、目標を達成しようとする努力を怠ってしまった 途中で遭遇する挫折に準備しなくなってしまう

ダイエットできた自分をイメージする「だけ」で、食事制限などの努力もせず、美味しいものがあるとつい食べてしまう。就職活動で内定をもらって喜んでいるイメージ「だけ」して、面接の練習もせず、希望している企業を調べもしない。だからこそ、大きすぎる目標をイメージしてしまうと、現実が見えにくくなり対策を怠りがちなので危険なのです。

そのためには、大きな目標を立てるだけでなく、途中途中での小さな目標も複数立てて、これらの小さな目標を達成しながら大きな目標を現実にしていくのです。

目標は小さいほど現実味を帯びやすくなるので、自分の現時点での能力や立ち位置と、目標との乖離が把握しやすくなります。その結果、危機意識を持つようになったり、具体的に何をすればいいのかが見えやすくなったり、何より行動に移す際のハードルも下がります。

そして、挫折もしにくいのです。思ったよりも難しいとなっても、目標が小さければ何とか頑張る気も起きます。さらに、人生で勝利を味わってこなかった場合には、小さな目標を達成することで、勝ち癖をつけることもできます。行動することで成功できるという体験を積むことができます。

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私は、受ければ必ず合格する偏差値30の高校、夜間の定時制大学、しかも留年をしてブラック企業に経理職として就職しました。簿記の知識はゼロ。いきなり、「オレは海賊王になる!」あらため「オレは税理士になる!」と成功イメージを描いただけでは、この実験通り、失敗に終わっていたことでしょう。

そこでまずは、建設業経理事務士4級合格を目標にしました。この試験は平均合格率75%以上という難易度が低い試験です(当時)。この試験にチャレンジしたあとで、建設業経理事務士3級、日商簿記検定3級、2級建設業経理士、1級建設業経理士と、徐々に難易度を上げながら、合格してきました。

最終的には税理士試験に合格しましたが、最初から税理士試験にチャレンジしていたら、前述したイメージだけが膨らみ、早々と挫折していたと断言できます。

スキルアップも同様です。私は以前、キャリアアップのために専門外の土木工学の勉強をしようと試みました。建設会社で経理に配属されていても、土木の知識があれば現場の人と対等に話せ、実務を知ることで今後の経営にも役立つと考えたからです。現場に行き、工事について的確なアドバイスをしている成功イメージを抱いていました。

しかし、工事部の同僚に借りた「土木概要」の本を手に取っても全くわかりません。工事部にとっては基礎的な書籍でも、実務経験のない私にとっては難しすぎました。

そこで小さな目標に切り替え、まずは「マンガ土木入門」というような本から読み、「土木超入門」「新入社員のための土木入門」など徐々に難易度を上げ、高い目標打破する力をつけてから、最終的には2級土木施工管理技士のテキストを理解できるようになりました。

では、最初から小さな目標だけ掲げていればよいかというと、それもまた問題です。小さな目標を達成してしまうと、それが達成した瞬間に燃え尽き症候群になり、モチベーションも下がります。目標が達成しそうになったら、もう少し高いハードルを設定しつつ行動していくことが、成功への動き続けるコツなのです。

ルフィも少しずつ経験を積みながら、今では四皇となっています。「海賊王になる」という大きな目標に向かって、途中途中で成功体験を積み重ねた結果です。大成功のイメージと小さな目標の積み重ねが、人生を変えるのです。今すぐ小さな目標を作ってみてください。

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