街中にあふれていたタピオカ屋が、いつの間にか減っていた...みなさんは、その理由を説明できますか? 想像はできても、説明するとなると難しいかもしれません。SMG税理士事務所代表税理士・菅原由一氏著の『タピオカ屋はどこへいったのか?』は、「場末のスナックの稼ぎ方」や「携帯電話の契約が分かりづらいワケ」など、さまざまな「なぜ」をビジネスの視点から分析しています。日常にあふれるちょっとした疑問を題材に、ビジネスの思考回路を磨きましょう。
※本記事は菅原由一 著の書籍『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)

通販番組の商品はなぜ個数が限定されているのか?
入手困難であることが価値になる
深夜の通販番組では「限定」という言葉がよく出てきます。これは消費者の心を惹きつける魔法のワードです。通販番組で販売数などを制限する理由は、人の「ほしい」という気持ちを高めるためです。
限定という言葉は、「みんなと同じではイヤ」「つまらない」と考える人の心にささります。その結果、希少性が高い限定商品に魅力を感じやすくなり、売れやすくなります。この心理をスノッブ効果といいます。
この心理を踏まえた売り方は通販番組以外でも使われています。例えば、人気のラーメン店はスープがなくなり次第営業終了します。アパレル店では入荷未定の人気商品に予約が殺到します。
つまり「手に入りにくい」ことが価値となり、手に入れたい人が増えやすくなり、行列ができ、行列が行列を呼び、話題が話題を広げるわけです。
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単価が上がって利益が増える
限定することによって行列や話題が生まれれば、商品やサービスの売上アップ以外のメリットも生まれます。
数量を限定すると、その数だけ売り切れば良いわけですので売れ残りが発生するリスクを抑えられます。また、限定数が全て売り切れるのであれば、あらかじめ売上が計算できます。
売り切れは収益を伸ばす機会を逃すことになりますが、売れることが分かっていれば値下げする必要がなくなり、人気に乗じて値上げすることもできます。これも収益の安定化につながる大事な要素です。
コスト面では、宣伝費などを抑えやすくなります。手に入りにくいものを手に入れた人は、そのことを自慢したくなるものです。友人に自慢したり、SNSで投稿したりしたくなります。このような活動によって広告費をかけずに商品やサービスを周知できます。さらに、在庫管理コストも低減できます。
つまり定価販売や値上げによって利益が伸び、一方では販売に関わるコストが減るため事業者の利益が増えやすくなるのです。


菅原由一
1975年三重県生まれ。SMG税理士事務所・代表税理士。人よりも3倍の勉強量で税理士試験に打ち込み、20代で税理士資格を取得。現在は、東京・名古屋・大阪・三重に拠点を置き、中小企業の財務コンサルタントとして活躍。銀行が絶賛する独自資料の作成で赤字会社も含め融資実行率は95%以上。顧問先の黒字企業割合は 85%を実現し、全国平均30%を圧倒的に凌ぐ。これまでに全国各地で 1,000 本以上の講演やセミナー講師を務め、1万名超の経営者が受講し、大手企業からの講演依頼が絶えない。YouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』は開設わずか1年で登録者数38万人を突破し、TV、専門誌、新聞、各メディアで取り上げられ注目を集めている。「努力と結果は比例する!」を座右の銘として、YouTube、ブログ、SNSで経営のノウハウを毎日配信している。