現代のモノの買い方を心得ている人は、接客の仕方にもそれが出てきています。近年、一番変わってきたのは商品の「比較検討」の部分なのだそうですが、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは、そんなお客様の心理を理解した接客で差がつくと語っています。

お客様が最初から何か別の商品と比較していると感じたら

接客をしていると、お客様が最初から比較をしているような感覚を受けることってありませんか?

接客をするこちら側からは商品に関して説明をしたり、ニーズを引き出そうといろいろと会話をするのですが、お客様はどうやら頭の中で何か別の商品と比較をしているような感覚です。

今はこういうお客様が本当に多くなったなと感じます。

購買心理の段階というものがありますよね。

いわゆるAIDMAの法則に代表されるようなお客様の購買心理(モノを買う時の心理)を示すアレです。

一般的な8段階では、『注目→興味→連想→欲望→比較検討→信頼→行動→満足』となっています。

この内”比較検討”は5段階目になっていますね。

僕も説明の便宜上この8段階はよく使いますが、実際のところ元となったAIDMAの法則が提唱されたのは1924年とされています。(なんとちょうど100年前!)

だから正しい部分は多々あるにしても、古くなっている部分も往々にしてあるという話です。

まぁこの辺はとっくの昔に言われていることで、だからいろんな購買心理段階が提唱されてますが。

話を戻して、特にこの”比較検討”に関して言えば、現代ではかなり感覚が変わっています。

昔は情報もそう多く出回ってはおらず、店に行って初めて知ることのできる情報が多かった。

だから店で比較検討をしたり、他の店を回って比較検討をしたりという購買行動が普通にありました。

今もなくはないですが、ほとんど多くの人は家にいる時点でネットで情報を得ています。

つまり店で改めて比較検討はするものの、(実際に商品を見ての比較はしますからね)店に入ってくる前の時点である程度の比較材料は持っているし、比較も始まっている状態なわけです。

この心理を理解していれば、接客の流れにも影響は出てきます。

どういうことかというと、接客の早い段階で他のどんなモノと比較をしているかを尋ねることでスムーズに進みやすくなるのです。

お客様は店員に対して、「比較をしていること」をあまり言いたがることはありません。

お客様自身が、「店員は店のモノを売りたい」という認識を持っているので、他の店のモノと比較をしていることを言いにくいからです。

でもだからこそ逆に、

「比較は当たり前ですよね」

「せっかくならちゃんと比較して欲しい」

といった気持ちが伝わることで、一気に安心感が生まれることもあります。

それを会話の中で出すかどうかですが、これがまったくないままに、「比較してるんだろうな」と暗に思っている気持ちが伝わったりすると、お客様もどんどん説明を聞きづらくなったり、接客にかかる時間に遠慮をし出します。

そうなると接客もしづらくなり、同時にお客様も受けづらくなり露骨に損をします。

だったら最初から、

「今回はどんなものを探しているのか?」

「それに関してどんな比較をしているのか?」

などを尋ねた方が良い時もあるのです。

最初から比較についての話をし過ぎるとうまくいきにくい場面もありはしますが、この辺は状況判断ですね。

「何か他で迷っているものはありますか?」などを尋ねたりすると、その反応などで判断ができることも多いです。

最初から比較をするような接客も活用していきましょう。

今日の質問&トレーニングです。

1)自身がモノを買う時にはどのような方法でどんな比較をしていますか?

2)自身が店でモノを買う時に、比較対象についてどのような会話を店員がしてくれたら、比較対象についても話しやすいですか?

image by: Shutterstock.com

MAG2 NEWS