ゴムゴムの実に宿る「意思」とは?

 大人気マンガ『ONE PIECE』の主人公「モンキー・D・ルフィ」は、「ゴムゴムの実」の能力を駆使し、さまざまな強敵と戦ってきました。実は「ゴムゴムの実」の正体は「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル:ニカ」だと判明しましたが、その「悪魔の実」自体は、もともと「シャンクス」率いる「赤髪海賊団」が「CP9」の乗った船から強奪したものです。

 危険を冒して手に入れた悪魔の実ながら、なぜシャンクス自身が食べなかったのでしょうか。今回は、シャンクスが「ゴムゴムの実」を食べなかった理由について考察します。

 まず悪魔の実は、ふたつ食べると死んでしまうため、「すでにシャンクスは悪魔の実を食べた能力者だったのでは?」という意見があります。しかし、シャンクスは第1話で、海で溺れかけたルフィを助けるために水に飛び込んで救出していました。

 悪魔の実を食べるとカナヅチになるという特性を考えると、当時のシャンクスが能力者だった可能性は低いはずです。

 またシャンクスが、別の悪魔の実を食べることを予定していたのであれば、ゴムゴムの実を食べなかったことに合点がいきますが、今のところ彼が能力者になったと断定できるような描写は見当たりません。

 さらに、シャンクスが何らかの取引などに「ゴムゴムの実を利用する予定だった」ことも考えられます。ゴムゴムの実は、CP9が直々に護衛していたほどの悪魔の実でした。当然シャンクスも「特別な悪魔の実」であると察したはずで、なにかの取引材料に使える逸品だと考えたとしても不思議ではありません。そのためあえて食べずに保管していた、とも考えられます。

 そして物語が進むなかで明らかになった新情報から浮上してきたのが、「ゴムゴムの実のほうがルフィを選んだ」という説です。

 第1044話にて「五老星」がゴムゴムの実について会話するなかで、800年もの間、世界政府がゴムゴムの実の回収を試みながら「決してその手中に収まる事はなかった」と明かしています。

 続けて「まるで『悪魔の実』が我々から逃げている様だ」「動物(ゾオン)系の実には意思が宿る」と語り、悪魔の実の意思によって世界政府から逃げている可能性を示唆しました。

 それを踏まえると、CP9からシャンクスの手にわたり、最終的にルフィが食べるに至ったのも「悪魔の実の意思」が作用した可能性が考えられます。

 つまり、シャンクスはゴムゴムの実を食べなかったのではなく、悪魔の実の意思によって食べることができなかったという考え方です。ゴムゴムの実に宿る「ニカの意思」が、食べるにふさわしい相手が現れるときを待っていたという可能性はあるのかもしれません。

 800年間も世界政府から逃げ回った特別な悪魔の実が、小さな村の少年にあっさり食べられてしまったのは、おそらく単なる偶然ではないでしょう。

 1054話で、ニカに覚醒したルフィの姿を手配書で確認したシャンクスは、心のなかで「これが……」と意味深につぶやきました。そのときルフィとの思い出よりも先に、CP9の乗った船からゴムゴムの実を強奪したときの記憶を思い出していたのも印象的です。

 その意味ありげな回想シーンと彼の発言をつなぎあわせると、もしかするとシャンクスは、ゴムゴムの実の正体や「ニカ」とのつながりについて、何か知っていたようにもみえます。

 そして「ニカ化」したルフィの姿を確認した直後に、シャンクスは副船長のベックマンに「そろそろ奪(と)りに行こうか 『ひとつなぎの大秘宝』(ワンピース)」と宣言しました。

 もしかすると「ルフィがニカ化したこと」や「ゴムゴムの実の意思」は、シャンクスの目的や思惑とも深いかかわりがあるのかもしれません。そのあたりの真相が、明かされるときがくるのが楽しみですね。