自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、党員資格停止1年の処分を受けた西村康稔衆院議員(61)=兵庫9区。処分が発表された後に記者会見を開いた異例の場所は、三木武夫元首相の胸像が置かれるなど、権威あふれる衆議院の正面玄関だった。みそぎの場としては違和感もあるが、その場所を選んだ理由とは―。

なぜ、こんなに貫禄のある場所で?

2022年の裏金復活を協議した安倍派幹部として西村氏は8段階のうち、3番目に重い処分を受けた。資格停止期間中に選挙があれば、党公認を得ることができない。

4日夕方、処分が決まり報道陣から会見を求められた西村氏は当初、衆院と参院の間にある中央玄関前の中央広間を会見場所に指定した。ここは国会で一番高い中央塔の真下にあり、2階から6階まで吹き抜け。議会政治の基礎固めに尽力した板垣退助と大隈重信、伊藤博文の銅像が置かれている。集まった報道陣は一様に「なぜ、こんなに貫禄のある場所で?」と首をかしげながら待っていたが、その後、衆議院の正面玄関を通った先にある広場に変更された。

会見では「初心に戻り、裸一貫で再出発したい」と語った西村氏。報道陣から「なぜ、この権威ある場所で会見を?」と問われると「初登院した時の気持ちをもう一度、思い出そうと。文字通り、初心に戻る、原点に戻るということでこの場所にさせていただいた」と説明した。

実はこの広場に胸像がある三木武夫元首相は、金権政治で批判を浴びた田中角栄の後継で、カネまみれの自民党政治を変えようとした政治家。「クリーン三木」と呼ばれ、与党内の抵抗を排して、政治資金規正法を強化したとされる。

さらに記者から「今回の裏金事件が起こったのは政治にお金がかかるから。そのような政治をどのように思うか?」と聞かれた西村氏は「政治活動には一定のお金が必要。支えてくれる秘書もいるし、地元の事務所も運用していかないといけない。きちんと透明化していくことが大事だと思っている」と語った。

かたわらにいた三木元首相は、この会見をどのように見ただろうか。