街中にあふれていたタピオカ屋が、いつの間にか減っていた...みなさんは、その理由を説明できますか? 想像はできても、説明するとなると難しいかもしれません。SMG税理士事務所代表税理士・菅原由一氏著の『タピオカ屋はどこへいったのか?』は、「場末のスナックの稼ぎ方」や「携帯電話の契約が分かりづらいワケ」など、さまざまな「なぜ」をビジネスの視点から分析しています。日常にあふれるちょっとした疑問を題材に、ビジネスの思考回路を磨きましょう。
※本記事は菅原由一 著の書籍『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)

コンビニの向かいになぜ同じコンビニがあるのか?
数で市場を支配する
新規事業を考える際に重要なのは、どんな市場で、どれくらいの収益を得られるかです。競合の多い市場はレッドオーシャンであり、シェアの奪い合いや価格競争が起きます。かといって競合が少ない市場は需要も小さい可能性が高く、事業として成立するかどうか不安です。
その点で参考になるのがコンビニの出店戦略です。街を歩いていると、同じチェーンのコンビニが目と鼻の先に建っているのを見かけます。これはドミナント戦略とよばれるものです。ドミナントは「支配的」や「優勢」という意味の言葉で、商圏内にチェーン店を増やすことにより、他のチェーンが出店しづらい支配的な状況をつくることができます。
具体的な効果としては、まず商圏内に自社チェーン店を増やすことで、自社チェーン店を利用する人を増やし、認知度も高められます。コンビニは最近、プライベートブランドをつくって差別化を図っています。ナショナルブランドの飲み物やお菓子などはどのチェーンで買っても大きな差はなく、そのような需要を取り込むために、商圏内にチェーン店舗が多い方が有利なのです。
また、同チェーンが近くにあることで商品の搬入が物理的に効率化できます。人手が足りないときに店舗間での人の調達もしやすくなります。
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商圏の境界線を見つける
個別店舗の収益で考えると、同チェーンとはいえ、目と鼻の先にコンビニができるのは不利といえます。商圏内のコンビニ利用者は一定ですから、限られたシェアを奪い合うことになります。
じつはここにポイントがあります。コンビニ同士が物理的に近い場所にあっても、商圏が同じとは限りません。例えば、国道には上りと下りがあり、これらの商圏は別です。わざわざ車をUターンして反対車線のコンビニに行こうと考える人は少ないからです。
新規出店を考える際に重要なのは、競合店との物理的な距離よりも、商圏の境界線を見ることなのです。


菅原由一
1975年三重県生まれ。SMG税理士事務所・代表税理士。人よりも3倍の勉強量で税理士試験に打ち込み、20代で税理士資格を取得。現在は、東京・名古屋・大阪・三重に拠点を置き、中小企業の財務コンサルタントとして活躍。銀行が絶賛する独自資料の作成で赤字会社も含め融資実行率は95%以上。顧問先の黒字企業割合は 85%を実現し、全国平均30%を圧倒的に凌ぐ。これまでに全国各地で 1,000 本以上の講演やセミナー講師を務め、1万名超の経営者が受講し、大手企業からの講演依頼が絶えない。YouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』は開設わずか1年で登録者数38万人を突破し、TV、専門誌、新聞、各メディアで取り上げられ注目を集めている。「努力と結果は比例する!」を座右の銘として、YouTube、ブログ、SNSで経営のノウハウを毎日配信している。