彦根市の特産品「彦根梨」の花が満開となり、ミツバチによる授粉作業が行われている。(彦根経済新聞)

 梨の花

 彦根梨は現在、彦根市石寺町で17戸の農家が栽培。樹上で完熟させて収穫するため甘味が強いのが特徴で、毎年県内外から多くの客が買いに訪れる彦根市の特産品。

 JA東びわこ・彦根梨生産組合では例年人工交配機や花粉噴射機を使い授粉作業を行ってきたが、「火傷病」の発生により中国産花粉の輸入が停止したことを踏まえ、今年は急きょ、ミツバチによる授粉作業に切り替えたという。ミツバチは業者から仕入れたもので1園につき約8000匹を使う。ミツバチがさまざまな梨の花を行き来することで、めしべに花粉が付着し受粉が成り立つ。

 彦根梨生産組合長の吉田惠治さんは「自然の力で交配させるので自然に優しい環境を整えるようにしている」と話す。吉田さんは現在80アールの畑で梨を栽培し、4月上旬から約2万4000匹のミツバチを放ち、連日ミツバチが花から花へと飛び回る様子が見られる。

 吉田さんは「初めてのことで不安もあるが、ミツバチもよく働いてくれている。良い梨ができるように期待している」と話す。「人工授粉に比べると着花数は少なくなるが、その分、いい梨になるものをしっかりと見極めていきたい」とも。

 授粉作業は花の状態を確認しながら4月いっぱい続け、その後摘果作業を行い、7月下旬から収穫を予定する。