松本市出身の俳優・花岡すみれさんが出演する映画「水深ゼロメートルから」の先行上映が4月26日・27日、まつもと市民芸術館(松本市深志3)で行われた。主催はNPO法人コミュニティシネマ松本CINEMAセレクト。(松本経済新聞)

 インタビューに応じる花岡さんと山下監督

 高校2年の夏休みに、補習のためにプールに呼び出されたココロとミク、同級生で水泳部のチヅル、水泳部を引退した3年のユイを中心に、心の葛藤と解放を描く青春群像劇。原作は2019年に開催された第44回四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞した作品で、2021年に舞台化された。脚本は当時、徳島市立高校3年で同作を執筆した中田夢花さん、監督は「リンダリンダリンダ」「カラオケ行こ!」などを手がける山下敦弘さんが務める。

 舞台に続いてユイ役を演じた花岡さんは、「舞台は物語が進むにつれ、ぶわっと盛り上がっていくが、映画はまた違う時間の流れ方があると感じた」と話す。舞台に比べると、映画はせりふの量が少なく、それぞれがスマホを手にして無言の時間が流れるシーンもある。山下監督は「舞台から続けて携わる人も多かったので、どこを生かし、どこを残すか相談しながら進めた」と振り返る。

 メインキャストの女子高生4人については、「誰か1人に感情移入する、というよりは、それぞれ少しずつ分かるという感じ。自分自身も東京に対する憧れがあったので、地方で過ごす高校生にとってはどこか重なる部分があるはず」と花岡さん。山下監督は「映画好きの中学生や高校生、若い世代に見てほしい。男女問わず、共感と憧れが入り交じったような感覚を得られると思う」と呼びかける。

 26日の上映後には、花岡さんと山下監督がアフタートークを行った。花岡さんにとって初の舞台あいさつとなった、18日の東京・池袋での完成披露上映会に続いての登壇で、「緊張したが、知っている顔が見えて、『ホーム感』もあった」とも。山下監督は、2008(平成20)年に「天然コケッコー」で、同NPOが選出する第1回「セレクト・アワード」を受賞。松本を訪れるのはおよそ10年ぶりだといい、「自分にとっても『ホーム感』がある場所に、自分らしい作品で来ることができて良かった」と笑顔を見せる。

 同作は5月3日から全国でロードショー公開。市内ではイオンシネマ松本で上映予定。