2024年で70周年を迎えた日本が世界に誇る怪獣王ゴジラ、強さと優しさあふれるキャラクターで高い人気を誇るコング。世界の頂点に君臨する2大怪獣王が激突する“モンスター・ヴァース”最新作『ゴジラxコング 新たなる帝国』がついに公開となった。世界各地を舞台に、怪獣たちが大地を揺るがし激しいバトルを繰り広げる本作は、スペクタクル満載のエンタテインメント超大作に仕上がっている。そしてIMAX認証デジタルカメラで撮影された“Filmed for IMAX”作品でもある本作。今回は、IMAXの巨大スクリーンと高精度なサウンドだからこそ真価が味わえる、見どころを紹介したい。

地下に広がる空洞世界で、タイタンズ(=巨大怪獣)たちと戦いの日々を送るコング。彼は自由と引き換えに、守護神としての役割を果たせずなにか物足りなさを感じていた。一方の破壊神ゴジラは、ローマを襲った怪獣に誘われるように海から出現。そのままローマのコロッセオに居ついてしまう。そのころ、怪獣の調査機関モナークの研究員アイリーン(レベッカ・ホール)の娘となったジア(カイリー・ホットル)は不思議なビジョンに悩まされていた。やがてゴジラはフランスで原発を襲撃し、北極海へと移動を始め、コングは空洞世界を冒険し、自分によく似た巨猿たちの種族に出会う。

■巨大スクリーンいっぱいに繰り広げられる、驚異の怪獣バトルが激アツ!

地上世界に君臨する破壊神ゴジラ。地下に広がる空洞世界で暮らす守護神コング。今作は2体の怪獣王がそれぞれの世界で激闘する姿で幕を開ける。ゴジラは敵怪獣と対峙すると、アグレッシブなファイトで応戦する。悲鳴をあげて人々が逃げ惑うなか、土煙をあげながら激しく戦う姿は圧巻。放射熱線で相手を圧倒する豪快な姿は、怪獣王ゴジラならではだ。

空洞世界のコングも負けず劣らずの暴れっぷり。空洞世界に生息するタイタンと対決し、コングならではの怪力と容赦のなさを披露する。力強く胸をたたくドラミング、牙をむいた怒りに満ちた表情など、こちらも怪獣王の名に恥じない貫録を見せつける。

アバンタイトルからアドレナリン全開の本作では、ゴジラとコングの因縁のバトルも繰り広げ、さらに幻想的な光に包まれたモスラも怪獣バトルに参戦。陸、海、空、地底にわたる壮大なスペクタクルの数々は、IMAXの巨大スクリーンでは身震いするほどの迫力だ。

しかも本作はIMAX認証デジタルカメラで撮影された“Filmed for IMAX”作品。IMAXのスクリーンでのみ一部シーンで画角が上下に広がり、最大26%増の映像世界になるため、ゴジラやコングの激闘をより広い画角で体感することができるのだ。本作を味わい尽くすにはIMAX一択と言ってよいだろう。

■ヨーロッパから中東、地底をまたにかけた多彩なロケーション

アジアやアメリカを舞台にした第1作『GODZILLA ゴジラ』(14)以来、欧米から南極、さらには地底世界まで、地球各地で激しいバトルを繰り広げてきたモンスター・ヴァース。その伝統は本作でもしっかり踏襲されている。ゴジラは世界各地に遠征し、一方のコングも多彩なロケーションで怪獣バトルを展開する。そして、とある都市で巻き起こる怪獣が入り乱れてのバトルロイヤルは必見。客席を包み込むようにスクリーンが広がったIMAXならば、怪獣たちを目の当たりにしているような没入感で、その場の臨場感まで伝わってくるほどだ。

地面の裏側に広がる空洞世界は、地上とは逆側に重力がはたらく逆転世界となっている。モナークの調査隊が特殊なポータルを抜け空洞世界に突入するシーンのライド感、重力異常による無重力状態の中でゴジラやコングたちが戦うシーンの浮遊感など、アトラクション感覚あふれる見せ場でもIMAXの巨大スクリーンが威力を発揮。見たことのない世界がリアルに体感できる。

■全身で感じるサウンドで、激しい怪獣バトルを盛り上げる!

ゴジラやコングのほかにも次々に怪獣たちが登場するモンスター・ヴァース。個性的なデザインや100m超の巨体がもたらす重量感だけでなく、背筋も凍る恐ろしい鳴き声も彼らの魅力を担っている。生物を超越した地響きのようなゴジラの鳴き声、怒りに満ちたコングの咆哮など怪獣たちの鳴き声はどれもすさまじい迫力。怪獣ごとにデザインされた鳴き声の個性がはっきり聞き分けられるところに、クリアで従来のスピーカーよりも広い音域をカバーするIMAXのサウンドシステムの威力を実感できる。

走り、跳び、投げ飛ばすなど躍動感あふれる怪獣バトルを満載した本作。鳴き声のほか大地を揺るがす怪獣たちの足音や巨体が激突する衝撃音、街や山が崩れゆく破壊音も重要な役割を果たしているが、それらを盛り上げているのが音響だ。激しい怪獣バトルや、空洞世界を飛ぶ翼竜の群れの中を捉えた映像など、アクティブなカメラワークに合わせて移動するサウンドが、完璧にチューニングされたIMAXのスピーカーならより立体的に味わえる。IMAXシアターは、どのシートに座っていても理想的なサウンドが味わえるのもポイントだ。

■怪獣バトルだけじゃない!ゴジラやコングを取り巻くドラマチックなストーリー

オープニングから怪獣バトルをとにかく詰め込んだ本作だが、見どころはスペクタクルだけではない。なにかに導かれるように放射能を求め移動するゴジラや、守護するものをなくし空洞世界をさまようコング。さらに髑髏島で生まれコングと心を通わせることのできるジアは、謎めいたビジョンによって心を乱されていく。ゴジラ、コング、ジアを取り巻く、謎が謎を呼ぶミステリアスな展開も本作の見どころだ。

そんなドラマパートを盛り上げるのが繊細な感情表現だ。ジアを演じたカイリー・ホットルや母アイリーン役のレベッカ・ホールら俳優陣の熱演はもちろん、なにかに突き動かされるように暴れまわるゴジラ、怒りや悲しみ、戸惑いなど多彩な表情を見せるコングら怪獣たちの感情が、高精細なIMAXの映像ならしっかりと味わうことができた。思わずゴジラやコングら怪獣たちにも感情移入してしまい、あらためてIMAXの威力を思い知らされる。

ゴジラ、コングの怪獣王の共演にとどまらず、シリーズを重ねるごとにスケールアップしていくモンスター・ヴァース。怪獣スペクタクルの魅力をたっぷり詰め込んだその最新作をIMAXで味わい尽くしてほしい。

文/神武団四郎