天皇皇后両陛下は12日、能登半島地震で大きな被害を受けた穴水町と能登町を訪問されました。

3月に続いて2回目の被災地訪問となった今回は、土砂崩れや津波被害を受けた現場を視察し、被災者を見舞われました。両陛下は午前9時半ごろ、羽田空港から特別機に乗り込みましたが、機体トラブルが判明したため離陸がとりやめられました。

その後代替機に乗り換え、およそ1時間遅れで能登空港に到着されました。両陛下の被災地訪問は、3月22日に続き3週間ぶりです。

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午後0時45分ごろ、陸上自衛隊のヘリコプターで穴水町に入られた両陛下が最初に視察されたのは、地震で多くの建物が倒壊した穴水商店街です。

両陛下は熱心に被害状況の説明に耳を傾け、近くの美容室のオーナーの女性に「お体に気をつけてください」などと声をかけられたということです。

沿道には、今回も両陛下を一目見ようと、多くの住民らが集まりました。

沿道の人は「カメラも何も撮りそびれてしまった。あれよあれよと…頭が下がります。本当にわざわざ来て頂いて」「綺麗で笑顔が素敵で、嬉しくなりましたね」「夕べ一睡もしていないのに…興奮していたのか何なのか。感激しました本当に」

続いて訪問されたのは穴水町の避難所。3か月以上経った今も避難所で生活する住民に対し、両陛下は「おけがはいかがですか」「お大事にしてください」など体を気遣いながら、熱心に話を聞かれていました。

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地震で自宅が被害を受けた夫婦は…。

米田吉朗さん「やさしい人。泣けてきたというか、本当に心から心配していただいた」
米田美知恵さん「大変でしたねという優しいお言葉に本当に胸がいっぱいになった。お会いできて光栄でした。元気が出ます」

また、土砂災害の現場で人命救助にあたった消防団員や医療関係者らを労われる場面もありました。

穴水町消防団・濵出泰治団長「寒い時期に大変でしたねというお言葉もあった。地元で復興を目指す者として後押しを強くされたという思い」

このあと港を視察された両陛下ですが、港の向こうに見えるのは土砂崩れで複数の住宅が巻き込まれた由比ヶ丘地区です。

帰省中の親子や小学生など、16人が犠牲になったと説明を受けた両陛下は、現場に向かって10秒ほど黙礼されました。

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このあとヘリコプターで能登町に移動された両陛下ですが、43人が避難する避難所で、思わぬ再会がありました。

陛下が学習院高等科の1年生だったころ、地理学研究会の研修旅行で、能登を訪れた際、珠洲市の職員として引率にあたったという女性が避難所に身を寄せていました。

学習院高等科の1年生のころの陛下 能登を訪れる

陛下は「その節はお世話になりました。何年ぶりでしょう」とほほを緩められていました。

天皇陛下と再会した・濱美智子さん(86)「『50年経ちますけども本当に懐かしいです』とおっしゃっていただいて。本当に光栄で、こんな大地震だけど本当に遠いところからお越し下さったと感謝」

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両陛下はこのあと、地震による津波で非常に大きな被害を受けた白丸地区を視察され、家屋の倒壊により1人が亡くなった現場で再び黙礼し、犠牲者を悼まれました。