<春季高校野球九州大会:神村学園4−3大分>◇24日◇準々決勝◇佐賀県立

センバツ出場の神村学園(鹿児島)が選手層の厚さを発揮し、大分を4−3で下して26日の準決勝に進んだ。正捕手をけがで欠いたが、代役の藤田侑駿(ゆうしゅん)内野手(3年)が人生初の捕手を務めて大奮闘。2桁背番号の2年生3投手の急造バッテリーで3失点にまとめて競り勝った。

センバツ組の明豊(大分)は佐賀北を破り、鹿児島実も昨秋九州王者の熊本国府を倒してベスト4進出を決めた。

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神村学園がアクシデントを一丸の総力戦で乗り越えた。1回戦で左肩を脱臼した正捕手の木下夢稀(3年)が欠場。だが、小田大介監督(41)は「夏を勝つためには下級生の力も大事なので思いきって」と選手を信じて、腹をくくった。

センバツは一塁で出場した内野手の藤田を先発マスクに抜てき。肩の強さは持ち味だが捕手は野球人生で初だった。それでも「(木下から)ボールを止めることを言われ意識した」と体を張り、3失点で耐えた。

投手陣も踏ん張った。3回無死満塁。救援した2番手右腕の背番号17、千原和博投手(2年)がスクイズを外して三塁走者を挟殺でアウトにする好プレー。味方の失策も絡んで2失点したが、6回2/3のロングリリーフで勝利を引き寄せた。9回2死三塁から公式戦デビューした背番号19の3番手右腕、高木竜之介投手(2年)も1点は失ったが「木下さんのために勝とうと思った」と必死だった。

野手陣もしぶとく食らいついた。3回に2−2の同点に追いつき、4回無死三塁では、6番玉城功大外野手(3年)が勝ち越し決勝の中前打を放つなど2安打2打点。小田監督が「(エース)上川床をいつ行こうかと思ったが頑張った」という全員野球で4強を決めた。26日は決勝進出をかけ、唐津商(佐賀)と対戦する。【菊川光一】