レスリングのアジア選手権男子グレコローマンスタイル77キロ級で金メダルを獲得した日下尚(23=三恵海運)が18日、開催地のキルギスから成田空港へ帰国した。

昨年の世界選手権で銅メダルをつかみ、パリ五輪代表を決めた新星。今回は同大会で敗れていた世界王者アクジョル・マフムドフを決勝4−2で撃破。国際大会初優勝を相手の地元で飾り、「リベンジするためにやっぱアジア選手権に出たので達成して帰ってくることができてほんとによかった」と笑顔。「ブーイングとか起こされたんですけど、相手の歓声までも黙らせることができたのは最高でしたね」と誇った。

その決勝では相手に持ち上げられながら、頭だけで体を支えて粘りきった場面も。「うどんの力です!」と強調したのは、「うどん県」を掲げる香川県出身ならでは。「うどんの太麺のように、太い体幹で耐えました」と持ち味を強調した。

ただ、そのコシ…、ではなく腰には不安を抱えていた。痛みから2月に検査を受けると、腰椎の数が通常より1個多い6個であることが判明。柔軟性などが生まれず、腰痛になりやすい体質と知った。3週間の安静の後に、今大会を迎えていた。

腰の不安にも打ち勝って“コシの強さ”も見せつけての優勝。「世界選手権の3位よりも反響が大きくて。注目されるっていうことは1レスラーとしてほんとにうれしいですし、勝てなかった自分が夢見てて、夢見てたことがいま起きてるっていうわけだし、ほんとにうれしい」。パリでの頂点へ、常に故郷への愛も忘れない23歳。関係者が撮影用に準備したうどんを手にすると、たまらずに口に運び、「うまい! やっぱうどんは最高です」と一気に平らげた。【阿部健吾】