大阪と福岡を拠点に活動するバスケットボールクラブ「KAGO」が、アジア8カ国・地域のチームが参加した「アジア・ユース・チャンピオンシップ」の15歳以下(U15)と12歳以下(U12)で準優勝した。U15は決勝で長身選手のそろう中国の「湖南省娄底市第二中学」に36―51で敗れたが、技術やスペースを生かした戦術で体格差を補い健闘した。

 大会は2月に4日間、韓国・忠州で第1回大会として開かれた。日本からはKAGOと福岡県のクラブチーム「GROOVY」が参加した。U12とU15のほかに10歳以下(U10)と11歳以下(U11)、18歳以下(U18)のカテゴリーがあり、KAGOはU10にも、GROOVYはU10〜U12の3カテゴリーに出場した。

 KAGOのU15に福岡から参加した土田好治選手は事前に大阪での合同練習でチームとしてのプレーを確認して臨んだ。

 アジアのチームは、日本のU15で禁止されているゾーン守備を織り交ぜてくるのが特徴。KAGOは持ち味の速いパスワークから、相手の対応が遅れたところにアタックして崩していった。「選手5人が力を合わせてゴールを守る姿が印象に残りました」(土田選手)という慣れないゾーン守備に対して、試合の中で試しながら勝ち上がった。太田勝也コーチは「最初は選手に戸惑いもありましたが、新しい戦術へのチャレンジにワクワクする気持ちが高まり、勝利につながりました」と振り返った。

福岡から参加した土田好治選手(提供写真)

 

■貴重な国際経験を積んで(次ページ)

 香港のクラブ「Overtime」との準決勝は、39―26で快勝。相手陣から守備で圧力をかけてボールを奪い、ゾーンで守られる前に速攻で加点して主導権を握った。土田選手は第2クオーターから出場。リバウンドで貢献した。

 決勝は190センチ超の長身選手が複数人いる相手に苦戦。KAGOの選手たちはブロックをかわしながら果敢にゴールを挙げて食らいついたが、第3クオーターに突き放された。土田選手は「インサイドでは思うように点数が取れない時間帯もありましたが、スリーポイントでのチャンスを効果的に作りだし、中外ともにいくつか自分たちのやりたいバスケットで点数を重ねることができました」と工夫しながら攻めた。 中学世代でクラブチームとしての国際試合を経験し、中国の選手たちのハングリーさには「対戦相手からエネルギーをもらえた」と刺激を受けた。自身の心境にも変化があった。「国を代表するという今までになかった気持ちが芽生え、『絶対負けたくない!』と強く思いました」。劣勢から逆転勝利を挙げた下級生たちの姿には「誰も諦めていなかった。どんなに強いチームが相手でも戦い続ける大切さを改めて実感しました」。4月に佐賀県の強豪・佐賀東高に進学。大会の経験を生かしていく。

 今回の人選は「KAGOらしさを表現できる選手」(太田コーチ)という。土田選手は国際交流への関心も高く、事前に韓国語の自己紹介を覚えたという。「ゲームを通じて親近感が湧き、SNSを通じて友達になれた」。太田コーチは「自分たちのバスケットの通用する部分や、各国のプレースタイル、育成事情を知ることができて貴重な学びとなりました」と収穫を喜んだ。

対戦相手と記念撮影するGROOVYの選手たち(提供写真)