◆記者コラム・タカ番24時

 堂々としたマウンドさばきから、また白星を手にした。18日のソフトバンク―西武。1点ビハインドの8回を託されたのは、ソフトバンクに現役ドラフトで加入した長谷川威展(たけひろ)投手(24)だ。2死一、二塁とされるも内野ゴロに打ち取って無失点。その裏、近藤の逆転2ランが飛び出し、左腕は3勝目を手にした。

 日本ハム時代の昨季はイースタン・リーグで8勝をマークして最多勝となった。今年4月29日の西武戦でプロ初勝利を挙げたばかり。まさに〝勝利の女神がほれる男〟だ。

 埼玉・花咲徳栄高時代は主に一塁。2年の冬、監督の言葉が人生を変えた。「サイドスローをやれ」。長谷川は「『はい』か『イエス』しかなかった」と横手投げの道を歩み始めた。金沢学院大に進学後、「投げやすいものを探したらあれになった」と今の変則フォームにたどり着いた。

 プロ入り後は、同じ左腕で通算ホールドのプロ記録を持つ日本ハム・宮西に弟子入り。「フィジカルや投球スタイル…全てが手本」。特に参考にしたのはメンタル面だった。「負の感情を表に出さない強さがある」。数々のピンチを乗り越える先輩左腕を2年間、目に焼き付け、そこに大学で学んだスポーツ心理学も生かした。5月18日の西武戦も「強い。いける。大丈夫」と自分に言い聞かせ、ピンチを乗り切った。

 今季まだ無失点。登板機会も増えた。「ワンポイントでも1イニングでも何でもできる投手になりたい」。変則左腕の発〝展〟は、他球団にとってさらなる脅〝威〟になりそうだ。(大橋昂平)