“報復の連鎖”なのでしょうか。上空に見えるいくつもの光が浮かぶ映像は、イランが複数のドローンを撃墜した瞬間とみられます。複数のアメリカメディアは、イスラエルがイランを攻撃したと報じました。

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イランメディア

「イスファハンで比較的大きな爆発音が聞こえたということです」

暗い空に浮かぶ、いくつもの光。イラン中部で複数のドローンをイランが撃墜した瞬間とみられる映像です。

複数のアメリカメディアはイスラエルが19日、“イランへの攻撃に踏み切った”と報道。

イランメディアなどは、中部・イスファハンにある軍施設付近で3回の爆発音が聞こえたと報じ、防空システムが3機の無人機を発見、撃墜したとも伝えています。

イラン人

「イスラエルが少しでも間違いを犯せば、前回より激しく反撃しなければならない」

対立を深めてきた、イランとイスラエル。今月に入り、緊張が高まっています。

ことの発端は今月1日、シリアで起きたイラン大使館への空爆です。イランの革命防衛隊の幹部ら13人が死亡しました。イランはこの攻撃を「イスラエルによるもの」と主張し、今度はイランが報復として13日、イスラエルに対し300以上の無人機やミサイルなどで攻撃。イスラエルも、これに反撃すると宣言していました。

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“報復の連鎖”が懸念される中、報じられた19日の“イランへの攻撃”。イランの国営メディアは次のように報じました。

イラン国営メディアの放送

「イスファハンは平和で普段通りの生活を送っている。上空を小型無人機が飛んでいたが、迎撃された」

イスファハン周辺にある複数の核施設に被害は出ていないということです。

今後、さらなる“報復”はあるのか。

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今回の攻撃についてアメリカメディアは「事前にアメリカにも通告していた」と報じる一方、ロイター通信によるとイランの高官は「背後に誰がいるのかはっきりしていない」「直ちに報復する計画はない」と主張。イスラエルは沈黙を貫いています。

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「アメリカにも通告していた」との報道について、ブリンケン国務長官は次のように話しました。

――イスラエルが事前通告?

アメリカ ブリンケン国務長官

「アメリカがいかなる攻撃にも関与していないこと以外、話すつもりはない」

   ◇

中東情勢に詳しい専門家に聞きました。

――イスラエルが報復攻撃?

東京大学 中東地域研究センター 鈴木啓之特任准教授

「イスラエルとして報復を急いだ、そのように評価をしている。国内世論・政権を支える閣僚の、イランへの対応を求める声の高まり。報復をしたという姿勢は、国内の世論に向けても示されている」

一方、イラン側が「イスラエルによる攻撃」だと主張せず、「報復しない」としている点については…。

東京大学 中東地域研究センター 鈴木啓之特任准教授

「イランにとってイスラエルは、最大の同盟国アメリカという存在が後ろに控えているのは、よく分かっている。イランとしてはこのレベルの攻撃に関して、もう『静観する』と。イスラエルに対して、ここまでで終えてほしい、そうしたメッセージも感じ取れる」

鈴木特任准教授は、今回の攻撃をきっかけとした大規模な戦争に発展する可能性は低いとの見方を示した上で、次のように話しました。

――今後の中東情勢に影響は?

東京大学 中東地域研究センター 鈴木啓之特任准教授

「この事態を沈静化させていくのか、または相手に対してさらに挑発行為を繰り返していくのか。この駆け引きが一歩間違ったとき、全面的な戦争に発展する可能性は決して少なくない。この点の深刻さは認識しておかないといけない」

(4月19日放送『news zero』より)