顔のクセはしわやたるみを引き起こし、老け顔の原因に!
50代以降も元気で素敵であるために、今からゆがみを解消していきましょう。

この方に教わります
土門 奏先生
2008年に東京・麹町に鍼灸院土門治療院を開業。美顔率マッサージ&トレーニングの開発者で、美容鍼の第一人者。著書『10歳若返る「顔グセ直し」』(講談社)などがある。


老けて見える原因は顔グセ! まずは自分のクセを知ろう

口角に力を入れて微笑んだり、眉間にシワを寄せていたり。普段無意識に行っている顔の仕草。
じつはこれらが、口や目のまわりのシワやたるみなどの悩みにつながっています。

「若いころは筋肉が柔らかく伸び縮みしやすいのですが、筋肉は年齢とともに硬くなります。すると重力に逆らわずラクに使える筋肉ばかりを使うようになります。
脳もその運動パターンを覚えてしまい、筋肉の使い方がアンバランスのまま表情を作り始め、それが〝顔グセ〟となって見た目に表れてきます」(土門先生) 

老けた印象につながる顔グセを解消するためには、どのようにしたらよいのでしょう。

「顔の研究で魅力度が高いといわれている理想のバランス、『黄金比率』(下のイラスト参照)に、マッサージやトレーニングで整えていきます。筋肉の使い方がわかってくると左右差のない顔に近づき、若々しい表情に。まずはどんな顔グセがあるか確認しましょう」

顔のゆがみをチェック

【眉を上げた時に非対称】
両方の眉をきゅっと上に上げたとき、片側だけ上がっていたり、口角が傾いていると左右差があります。

こんな「顔グセ」が老け顔をつくる

何気なく行っている表情が顔グセに。鏡を見ながらクセをチェック!

1. 口角を上げようとして下の歯を見せる
→ ほおのシワ、たるみ、ほうれい線の原因に

口角の横に手を置く。

「エ・イ」と言ったときに手が横や下に動いたら、口角の下ばかりを動かすクセがあり、普段から頬を引き下げ、たるませています。

頬骨の上のほうが動けばクセはありません。

2. 鼻の下を伸ばす・唇を巻き込む
→ 口元がたるむ、ほうれい線の原因に

割りばしを鼻の下と口ではさみ10秒キープ。

割りばしをとり、唇を閉じて巻き込んで伸ばしたくなったら、口もとがたるんでいるサイン。上唇の筋肉がゆるみ、つい鼻の下を伸ばしてしまい、唇を巻き込むクセがついています。

3. 眉を無意識に上げる
→ おでこのシワの原因に

おでこに手を置き、目を閉じてから目を大きく開けます。

このときおでこが上に動いたら、おでこにシワができやすい状態です。
目まわりの筋肉バランスが崩れ、上まぶたや目の下のたるみも発生。

4. 目をぎゅっと閉じる、顔をしかめる
→ 目の下や眉間のシワ、たるみの原因に

目頭と目尻に中指と人差し指をのせます。

目を閉じたとき、目頭側に指が寄って目尻側が上がらなければ、目の下の筋力が衰え、目の下や目周りにトラブルが多くなります。

目をぎゅっと閉じるクセをなくして。

マッサージでコリをほぐす

指圧しながらマッサージを行い、硬くなった筋肉をほぐしていきます。筋肉を動かしやすくしておくと、次のトレーニングの効果が早く出ます。

1. リンパマッサージ

リンパを流してむくみやたるみを解消

手と頭の間に隙間ができないように意識して、頭の上にやさしく手をのせます。

頭の上から耳周りをまんべんなくやさしくなでます。5回繰り返して。

左手で右側の耳から首の前側、鎖骨のくぼみを5回なでます。反対側も同様に。


2. 口まわりを指圧

ほうれい線など顔下半分のシワ、たるみに効果

人差し指と親指を口角の下に置き、口角が黄金比率の位置になるよう整えます。

人差し指と親指を口角の下に置いたまま、フェイスラインの骨ぎわのエリアを指で押さえて、うなずきながら指圧。左右約10秒×1セット。

人差し指で目尻を黄金比率の位置になるように整え、頬骨の下のエリアをうなずきながら指圧します。左右約10秒×1セット。

親指と人差し指で、上唇は人中をつくり、下唇はマリオネットラインがなくなるまで寄せます。口角は黄金比率に合わせ、そのまま10回うなずき指圧します。


3. パンダマッサージ

目まわりシワやむくみ、くすみを解消

頬骨の上に指をそろえて置き、目尻が黄金比率の位置になるように少し持ち上げて押さえます。目尻を小鼻と眉尻を結んだ線上に。

1のまま指を押し当てて、4回うなずきます。指圧したまま指を目尻とこめかみまで移動し、それぞれ4回同様にうなずきます。

目頭に人差し指を押し付け、目の内側のエリアをうなずきながら指圧します。このとき、眼球を触らないように注意して。

眉頭に指を押し付けてから、うなずきながら眉の内側を指圧します。眉尻まで指を動かし、同様にうなずいて眉エリア全体を指圧。


4. おでこマッサージ

頭皮もほぐして眉間やおでこのシワ、たるみを解消

指先を眉毛の上に置き、骨に指を押し当て、眉毛を黄金比率の位置に。指圧したまま指をずらさず、小さく4回動かし、指を上に移動しおでこ全体を指圧。

頭の上から後ろまで指を移動させながら小さく4回手を前後に動かす。おでこの筋肉につながっている頭皮全体をしっかりほぐします。

4つのトレーニングで顔グセを改善

トレーニングではとくに筋力が低下して、うまく動かない部分にアプローチしていきます。
鏡を見ながら、正しい方向に筋肉を動かして。

1. 口角上げ

口角上の筋肉を鍛えてへの字口にさよなら!

中指をほうれい線に置き、指を水平線になるまで持ち上げて口角を黄金比率の位置に。さらに人差し指で目尻も黄金比率の位置に整えます。

前歯を見せて笑います。このとき上唇と口角を上げる中指が、頬の力で矢印方向に上がって動いているかを確認。下唇は力を抜きます。3秒×10回1セット。

NG

口角が横に広がり、思ったように頬が上がらないと口角を上げる筋肉が使えていません。下唇が広がったり、あごが出たり、下の歯が見えているのもNG。


2. あひる口トレーニング

口もとのたるみや口角下がりを解消

上唇に人差し指、下唇に親指を置き、口角を上下と外側から挟んで、黄金比率の位置に整えます。

人中のミゾが凹むように、口笛を吹くようにして上唇を内側に寄せます。下唇の親指は強く動かないように意識して。3秒×5回1セット。

2の唇を寄せたまま、上唇の先が鼻につくように反り返して上げます。下唇は動かさず、突き出さないように。3秒×5回1セット。

NG

口角が下がっていたり、上唇を上げるとき、下唇を突き出すのはNG。


3. 下まぶたトレーニング

目元のハリを呼び戻す

中指で頬を水平になるまで持ち上げてから、人差し指をそろえて目尻の下に置き、目尻を黄金比率の位置に整えます。

眉毛の上を押さえ、目を強めに閉じます。反対側の目は開け、口やおでこは動かさないよう注意。左右3秒×10回1セット。

NG

まぶたを動かしたいのに口が動いたり、口角が上がるのはNG。


4. 上まぶたトレーニング

おでこのシワや目元のたるみを防ぐ

両手をおでこに置き、眉毛の位置が黄金比率になるように移動させ、軽く目を閉じます。

おでこが動かないように、目を大きく開けます。おでこをしっかり押さえ、これ以上開けられないくらいまぶたを開けて。3秒×10回1セット。

舌は口の中のどこを触っている? 
「舌上げ」習慣でリフトアップ!

舌はまさに顔のインナーマッスル(体の深いところに位置する筋肉)です。
舌がうまく使われていないと、話したり、食べたり、笑ったりするときに顔グセの筋肉を余計に使ってしまい、シワやたるみなどの悩みの原因につながります。 

そこで、まずは下のイラストを参考に、舌が正しい位置にあるか確認してみましょう。

舌先は前歯の後ろの歯茎、舌の中央は口の天井にぴったりついているのが正しい位置です。
舌は筋肉の塊で、舌が下がっていると、筋肉全体も下がり、あご下のたるみの原因に。
頬も下がり、顔表面の顔グセの筋肉を気づかぬうちに使ってしまいます。
下がり舌の方は、いつも舌を正しい位置に上げておくことを意識しましょう。

正しい舌の位置とは

舌の先は上前歯の根元、舌の真ん中は口の天井に触れているのが正しい位置。
舌先が歯や下の歯茎に当たっていたり、どこにもついていないのはNGです。


撮影/松橋晶子 文/佐久間千絵 モデル/Yoko Azuma(ミモザ会)

※大人のおしゃれ手帖2024年4月号から抜粋
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