Diego Oré

[メキシコシティ 18日 ロイター] - メキシコ連邦政府は米国から圧力が掛かる中で、中国の自動車メーカー各社と距離を置いている。メキシコは中国勢による電気自動車(EV)の現地生産に関して、公有地の低コストでの提供や減税といった優遇措置の適用を拒否しているという。関係するメキシコ当局者3人がこのほど匿名を条件に明らかにした。

メキシコ高官と中国自動車メーカーとの直近の会合は1月に開かれた。高官はEV世界最大手・比亜迪(BYD)の幹部に対し、過去に自動車メーカーを対象に実施した優遇策を適用しないと明言。今後は中国メーカーとの会合を休止するとも述べたという。

現在中国メーカー約20社がメキシコで自動車を販売しているが、現地生産は行っていない。

同当局者は政府の対応について、米政府、特に米通商代表部(USTR)による圧力が原因と指摘。米国やメキシコが結んでいる貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の域内から中国自動車メーカーを排除し続けたい考えだと説明した。

USTR当局者はロイターの問い合わせに対し、圧力についてコメントしなかったものの、USMCAは「われわれの市場に関税を支払わずにアクセスしようとする中国などに裏口を提供する」ための仕組みではないと強調した。

中国の自動車メーカーが高い関税(現在27.5%)を支払わずに米国で安価なEVを販売するためにメキシコを利用しようとしているとの懸念が米国の自動車業界、労組、政界で強まっていることが、米政府介入の背景にある。

中国メーカーはメキシコに工場を作った上で、主要部材の75%以上をUSMCA域内で調達するなどの「原産地規則」を満たせば、米国の関税が免除される。