イングランド・プレミアリーグ第33節が14日に行われ、日本代表のキャプテン、MF遠藤航(31)が所属するリバプールはホームのアンフィールドでクリスタル・パレスに0−1と痛恨の黒星を喫し、順位をひとつ下げて3位に後退した。アンカーで先発した遠藤は、1点を追うハーフタイムに交代。精彩を欠くプレーに地元メディアはそろって最低評価をつけた。残り6試合でマンチェスター・シティが首位に浮上し、勝ち点2差でアーセナルが2位、得失点差でリバプールが続いている。

 地元紙の採点は「3」の低評価

 希望の二文字が遠のいていく。リバプールが悪夢の黒星を喫した。
ホームのアンフィールドに、キックオフ前の時点で15位に低迷するクリスタル・パレスを迎えたプレミアリーグ第33節の前半14分。左サイドを細かいパス回しで崩され、DFティリック・ミッチェル(24)にポケットを突かれた直後だった。
ゴールライン際からミッチェルがマイナス方向に折り返したパスを、フリーで走り込んできたイングランド代表FWエベレチ・エゼ(25)がワンタッチでゴールに流し込んだ。ミッチェルには遠藤が対応したが、やや遅れてしまう。最後はスライディングでブロックしようとしたが、ボールは遠藤の股間を抜けていってしまった。
ホームでの敗戦は許されないとばかりに、リバプールも怒涛の反撃に打って出る。しかし、前後半を通じて放った21本のシュートは、すべて空砲に終わってしまう。そのなかには前半27分に遠藤が放った、もう少しで同点となる一撃も含まれていた。
スコットランド代表DFアンドリュー・ロバートソン(30)が放った左CK。相手ゴール前で生まれた混戦のなかで、目の前にこぼれたボールに対して遠藤が左足を振り抜いた。強烈な弾道はしかし、無情にもクロスバーを直撃してはね返されてしまった。
ハーフタイムをへて臨んだ後半。ユルゲン・クロップ監督(56)は遠藤をベンチに下げ、代わりにハンガリー代表MFドミニク・ソボスライ(23)を投入。アルゼンチン代表MFアレクシス・マクアリスター(25)をアンカーに下げる形で中盤を再編成した。
後半は時間の経過とともに猛攻を仕掛けるもゴールは遠い。セリエAのアタランタに0−3で完敗した、11日のUEFAヨーロッパリーグ準々決勝第1戦に続くアンフィールドでの黒星。当然ながら地元メディアによる選手採点は厳しい数字になった。
遠藤に対しては特に辛辣で、たとえばリバプールの地元メディア『This Is Anfield』は、出場した16選手中で最低となる10点満点中で「3」をつけている。
同メディアはその上で、遠藤に対して次のように言及した。
「遠藤と素晴らしい契約を結んだのは認めるが、多くの選手がそうであるように、この数週間は彼に負担をかけているようだ。31歳の彼は前半の45分間、ボールを失い続け、エネルギーをほとんど見せない衝撃的なプレーを見せ、観客が彼に不満を募らせているのが感じられた。当然のようにハーフタイムに交代を告げられた」

 リバプール専門メディアの『LIVERPOOL.COM』も、遠藤に最低タイの「5」をつけた上で、45分間のパフォーマンスを次のように寸評した。
「シュートがクロスバーを叩いた場面もあったが、遠藤は中盤の底で苦戦し続けた。日本代表のキャプテンは肉体的にも精神的にも疲れているようで、このポジションで必要な強度に見合うプレーを見せられなかった。さらに彼はボールを握りすぎるプレーも多く、試合を優位に進める上で何が求められているのかを十分に予測していなかった」
別の地元メディア『LIVERPOOL ECHO』も、最低タイの「4」をつけた遠藤を「観衆の怒りを高めた」と酷評した。さらに今シーズン限りで退任するクロップ監督のフィナーレを、アタランタ戦から急降下をたどるチーム状態になぞらえて悲観的に伝えた。
「プレミアリーグ優勝を含めたタイトル獲得の望みが、大きな打撃を受けてしまった。ユルゲン・クロップの時代は、失望の結末に近づいているように思えてならない」
さらに視聴者が投票する採点(10点満点)の平均で「プレイヤー・オブ・ザ・マッチ」を選出している、イギリスの公共放送『BBC』のランキングでも遠藤は「3.40」と、先発した11人のなかで7位タイの数字にとどまった。これまでいい意味で驚きを与えて、高い評価を獲得してきた遠藤だからこそ、各メディアで軒並み厳しい評価が下された。
この日は日本代表DF冨安健洋(25)が所属するアーセナルも、アストン・ヴィラに0−2で敗れた。この結果、前日にルートン・タウンに5−1で圧勝していた、プレミアリーグ3連覇中のマンチェスター・シティが勝ち点73で首位に浮上。同2ポイント差でアーセナルとリバプールが追い、得失点差で前者が2位、後者が3位となっている。
マンチェスター・ユナイテッドと2−2で引き分けた、7日の前節に続いて勝ち点を落とした。終盤戦に入っての失速にクロップ監督は何を思うのか。イギリス紙の『Daily Telegraph』が、ドイツ出身指揮官の敗戦後のコメントを伝えている。
「最後までゴールを奪えなかった。それがいま現在のわれわれの姿だ。今日の黒星を本当にゴミのように感じている。それを処理するのに少し時間が必要だと思う」
リバプールに残されているプレミアリーグは6試合。敵地でフラムと対戦する21日の次節の前には、アタランタのホームに乗り込むヨーロッパリーグ準々決勝第2戦が18日に待っている。リバプール、そして遠藤がシーズンの正念場を迎えた。