天満屋岡山店で開催中の個展が連日盛況の自閉症の画家・石村嘉成さん。その影響は、アート以外にも拡がりを見せています。

(石村嘉成さん)
「おはようございます。小学校入学おめでとう!」

奥野弘光くん(7)はこの春、小学生になりました。弘光くんも2歳半で自閉症と診断されました。

弘光くんの母・奥野充子さんは、自閉症のアーティスト・石村嘉成さんの描いたゾウの親子の絵の前に立ち止まり、その母親ゾウの愛の深さに感動しました。

RSK

(奥野充子さん)
「すごく…言葉が出ないんですけど。お母さん象がすごく寄り添っている。子を思う母親像」

2年前、地域での療育に行き詰まりを感じていた母親の充子さんは嘉成さんの個展に足を運びました。
 

RSK

(石村嘉成さんの父・和徳さん)
「もし、我々が経験してきたことがお役に立てるんだったら、私はしてきたこと全てお話します」

嘉成さんの可能性の扉を開いたのが、40歳の若さで亡くなった母・有希子さんの療育です。嘉成さんの療育に取り組む有希子さんのホームビデオが残っていました。泣きながら勉強する嘉成さんに、有希子さんは毅然とした態度を貫き通していることが分かります。

奥野さんは、嘉成さんのアーティストとしての現在の活躍に勇気づけられながら、有希子さんの療育を継承し弘光くんを育てました。

(奥野充子さん)
「有希子さんがいらっしゃったから、目指せるというか歩むべき道というか、そういうものも感じながら今、子育てしています」

奥野さん母子も2年前、嘉成さんの幼い頃と同様に新居浜市のトモニ療育センターを訪れました。まだ療育を始める前の嘉成さんのように泣いていた弘光くん。

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その弘光くん(当時6)が、成果を披露する日が来ました。
卒園式で、「奥野弘光です。これから小学校1年生になったら勉強したいです」とみんなの前で挨拶できました。

この春、小学校の入学祝いに嘉成さんからのエールが届きました。

(石村嘉成さん)
『小学校ご入学おめでとうございます。1年生になってもお勉強を頑張ってくださいね。アフリカゾウみたいに強くやさしくなってね』

RSK

岡山市北区の天満屋岡山店で開かれている石村嘉成さんの展覧会を、奥野さん母子も訪れました。

弘光くんは、取材班にもしっかりと挨拶してくれました。

(奥野弘光くん)
「僕は奥野弘光。小学校に行きます。1年で〜す」

その道の険しさと先に待っている景色を誰よりも知る嘉成さんが、見守っています。

岡山市北区の天満屋岡山店で開かれている「石村嘉成展・生きものバンザイ!」の会期は5月12日までです。最終日には、石村嘉成さんも参加してファイナルセレモニーが行われます。ぜひご来場ください。