バレーボール女子の日本代表にも選ばれた、岡山シーガルズの川島亜依美選手と宮下遥選手が引退会見に臨みました。ともにチームが苦しい時期を支え続けてきた2人、会見で語った思いをお伝えするとともに、2人の15年間を振り返ります。

夢みたいな時間だった

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(今季限りで引退 川島亜依美選手)
「私自身Vリーグの世界で戦えるってことは、今終わって振り返ってみても信じられない。夢みたいな時間だった」

(今季限りで引退 宮下遥選手)
「本当にこの人たちと一緒でなければ、私はここまで来れてなかった。出会ったタイミングとかに感謝している」

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引退会見に臨んだ岡山シーガルズのミドルブロッカーで主将の川島亜依美選手とセッターで副主将の宮下遥選手です。ともにチームの中心選手として約15年間プレーしてきました。

(川島亜依美選手)
「チームで優勝を目指すということを目標にやっていたので嬉しさがあるんですけど、私は正直ホッとした気持ち」

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黒鷲旗優勝で「有終の美」宮下遥選手の目に涙

ともに引退を発表し迎えた国内3大大会のひとつ黒鷲旗バレー。シーガルズは圧倒的な強さで勝ち上がり見事、初優勝。長年にわたりチームを引っ張ってきた2人が最後の大会で初の栄冠を掴んだのです。

(宮下遥選手)
「みんなでここまで積み上げてきたものがあって最後かたちとして残すことができたという達成感があったので、優勝の瞬間をみんなで喜び合うことができてすごく嬉しかった」(【画像①】涙をぬぐう宮下遥選手)

【画像①】

互いに涙を流して健闘を讃えあいました。ただ2人がこの悲願を達成するまでには、長い道のりがありました。

(宮下遥選手・当時)
「中学生らしい元気な所を見ほてしいし、自分もみせられるように頑張ります」(【画像②】中学時代の宮下遥選手)

【画像②】

中学生「天才セッター」として注目も…下部リーグへの降格も経験

2009年にシーガルズへ入団した宮下遥選手。河本昭義監督が才能を見出し当時、史上最年少の15歳2か月でVリーグデビュー。2010年には日本代表にも選出されリオ五輪に出場、『天才セッター』として国の内外から注目されました。

(川島亜依美選手・当時)
「自分の一番はブロックなので、自分にしかできないプレーっていうのがあるので、そこ意識してやっていきたい」(【画像③】入団当時の川島選手)

同じく2009年に入団した川島亜依美選手も182センチの長身を生かしたブロックを武器に活躍。2013年に日本代表へ選出されました。共に日の丸を背負う存在となり、シーガルズは、この両輪の力で『常勝軍団』になると期待されていました。

【画像③】

しかし…

2017年。シーガルズは初めて下部リーグへの降格を経験。司令塔として戦っていた宮下選手は、この瞬間を鮮明に覚えているといいます。

(宮下遥選手)
「私も正直『生きた心地がしなかった』です。応援してくださった方に申し訳ない。情けない。悔しいという気持ちがあった」

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宮下選手「ファンの皆さんが背中を押してくれた」

悔しい敗戦を経験した2人は、その後、キャプテン・副キャプテンとしてチームの中核を担います。入団して約15年…心が折れそうな時もあったといいますが、それでも頑張り続けられた理由があります。『ファンの存在』です。

(宮下遥選手)
「ファンの皆さんには、苦しい時とか、結果が出せない時でも、常に背中を押していただきました。心が折れそうな時もたくさんの頑張れがあったからここまで走り続けて来られたと思います」

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どんなに苦しい時期もシーガルズの大応援団が選手を支えていました。その大きく温かい「声」に川島選手と宮下選手は励まされてきたのです。

(シーガルズのファン)
「最高の瞬間に立ちえあたのでとても嬉しいです」
「ずっと応援していたチームが優勝してくれてとても嬉しかったです」
「長い苦労が報われたという、一緒に本当感動した」
「初めての優勝を観させてもらって、引退される川島主将だったり宮下選手だったり。いろんな思い出が頭の中に蘇ってきて、自分も泣いてしまった」

赤磐市役所にあふれる「ファンのメッセージ」

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長年チームの『顔』として活躍した2人の引退。シーガルズが練習拠点を置く赤磐市でも市役所内にメッセージボードを設置しました。多くの『感謝の思い』が綴られています。

(赤磐市社会教育課 ヒューイット蘭奈さん)
「苦しい時もたくさんあったと思うんですけど、それを乗り越えて、長年この地で頑張って下さったというのは、赤磐市にとっても大きな励みとなってました。選手は引退されても岡山の地にずっといていただけたらと思います」

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チームの象徴といえる存在の2人に河本監督はこれまでの感謝とエールを送ります。

(岡山シーガルズ 河本昭義監督)
「いま彼女たちに私がこうしろああしろじゃなくて。いろいろ私は本人たちには『伝えられる事は伝えてます』あとは本人が悩むとことなく頑張ってほしい」

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2人は後輩たちに思いを託して笑顔でシーガルズを巣立ちます。

(川島亜依美選手)
「仲間ややってきたことを信じてやりぬくってところは、本当に変わらない部分でうちの良さだと思うので、前へ突き進んでいってほしいなと思います」

(宮下遥選手)
「地域の皆さん、応援してくださる皆さんとの『繋がり』があってこそだと思うので、そういうところを大事にしながら、そこを武器にして、『たくさんの人に愛されるチーム』に『もっと愛されるチーム』になっていってほしいなと思います」

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2人の今後の進路は未定ということですがバレーに携わりたいと話します。赤磐市のメッセージボードは、5月末まで設置しています。