古賀悦子さん「コノハナサクヤヒメ 舞う」(50号、アクリル・スプレー)

 洋画家の古賀悦子さん(53)=佐賀市=が、日本の神話と自然をテーマに個展を開いている。自然を畏れ敬ってきた日本人の感性に夢のような幻想を織り交ぜ、春の恵みを感じさせる11点を並べる。

 神話に登場する女神を扱った「コノハナサクヤヒメ 舞う」は毛糸の上からスプレーを吹き付け、ゆらめく温かな画面をつくった。「幻惑的なサクラのプラネタリウム」だという明星桜(伊万里市)を描いた「明星桜 メジロ飛ぶ」は、抽象表現主義の画家ジャクソン・ポロックの技法を取り入れている。「陽光」は、平和への祈りがこもったヨウコウザクラの誕生秘話に感銘を受け筆をとった。

 テーマを深める中で、命の循環への感謝や自然への崇敬の念が、日本的な精神の底流に流れていることを改めて感じた。個展は季節に合わせて作品を入れ替え、1年を通じて開いていく。

 「最近はテクノロジーの発達で、自然が遠くなってきたような印象がある」と語り、「土から草木が生まれて繁茂する、命の不思議を感じながら描いた」と話していた。(花木芙美)

 ▼佐賀市呉服元町のカフェブラッサンス=電話0952(97)9378=で26日まで。営業時間は午前11時半〜午後3時。月、水、日、祝日休み。