『姫様“拷問”の時間です』春原ロビンソン、ひらけい/集英社

 今年1月から3月まで、週1回の癒やしを与えてくれるアニメが放送されていた。最終回を見終えると「この至福の30分は、来週からしばらく見られないのか…」と、寂しさで思わずその場にうずくまってしまった。その原作が本作品『姫様“拷問”の時間です』だ。

 舞台は国王軍と魔王軍が衝突を始めた後の世界。王女であり、国王軍第三騎士団の騎士団長である姫は、聖剣・エクスとともに魔王軍に監禁されていた。とらわれの身である姫を待ち受けていたのは、ほのぼのとした“拷問”だった―。

 魔王軍の拷問官たちは日々、姫とおいしいものを食べたり、一緒に遊んだり。苦痛を与える拷問とは真逆の手厚い待遇で、国王軍の秘密を聞き出すことにいそしむ。そして姫はあっさりと“拷問”に屈してしまう…といったやりとりが繰り広げられる。タイトルは物騒に感じるかもしれないが、内容は癒やしの宝庫だ。

 彼女のチョロさやギャグシーンが魅力的だが、それだけではない。姫やエクスと、本来敵の立場である拷問官たちの間に友情が芽生えていく様子や、登場人物に誰一人として悪人がいないのも、この作品の大きな見どころだろう。姫を待ち受ける今後の“拷問”を見逃せない。

 2019年から『少年ジャンプ+』で連載中。アニメは2期製作が決定している。(集英社/660円)

 (コンテンツ部・池田知恵)