「毎年五つの公募展に挑戦している」と話す森山南斗さん

 小城市の森山南斗さん(30)は、何度も草稿を練り直して完成させた漢字「顧瑛(こえい)詩」で大賞に輝いた。「評価は励みで原動力。書道が好きだから続けてこられた」と達成感を語る。

 受賞作は墨の潤渇、文字の背の高低を意識して、14字をバランスよく配した。繰り返し草稿と実践を行き来して苦心したが「それが醍醐味(だいごみ)」と笑顔を見せる。

 鹿児島市生まれ、大東文化大文学部卒。日展で6度入選、謙慎書道会展西川賞や読売書法展読売新聞社賞など全国展でも受賞を重ねてきた。県書道展では昨年準大賞、今年は最高賞で「身が引き締まる特別な思いを感じている」と語る。

 常任理事を務める謙慎書道会で、書道のユネスコ無形文化遺産登録を目指してきた。いよいよ再来年に登録審査を控え「さらに多くの人に書道を知ってもらうきっかけになれば」と希望を語る。自身は佐賀市の山田酒店で商品の「のし」に筆を振るい、地域で手書きのぬくもりを伝えている。

 書道は「分かりづらい」と言われることもあるというが「県書道展はバラエティーに富んだ作風が魅力。絵を見るのと同じ感覚で見に来て」と呼びかける。(花木芙美)