松江市寺町でカレー店を営む福田愛子さん(40)が4月下旬、近くにスパイスドーナツ専門店を開業した。テークアウトのみのドーナツで松江駅周辺の街歩きを促し、中心市街地のにぎわいに一役買いたいと張り切っている。

 鳥取市で輸入食品販売をしていた福田さんは、松江市に移住し、新型コロナウイルス禍の2021年にスパイスカレー店「LAMP(ランプ)」を同市寺町で開業した。

 松江は仕事でたびたび訪れ、街並みや景観にほれ込んでいた地。コロナで街中の元気がなくなり、趣味の食べ歩きがしづらくなったことから「自分でおいしいお店をつくれば、街の人も自分も楽しくなるのでは」との思いだった。

 ドーナツ専門店は、組み合わせることで相乗効果を生むスパイスの面白さと奥深さを、気軽に若者に楽しんでもらおうと昨年秋に思い立った。

 モチモチ感が人気のハワイの揚げドーナツで大阪の専門店で作り方を学んだ「マラサダ」を独自にアレンジ。かんきつ系の爽やかな香りが特徴的な「スパイスの女王」カルダモンと砂糖をまぶした「カルダモンシュガー」や、手作りスパイスカレーを閉じ込めたカレードーナツなど約10種類あり、価格は200〜300円。提供に5分ほどかかるが、揚げたてがおすすめだという。

 カレー専門店の隣に開業したスパイスドーナツ専門店は「991(ククイ)」と名付けた。ククイはハワイ語で「明かり」を意味する。「街に明かりを」という思いは、カレー店・ランプを開業した時から変わらない。

 福田さんが松江で特に好きなのが、駅前と宍道湖を結ぶエリア。「古い街並みが残ってすごくすてきなのに、地元の人があまり歩かないのがもったいない」と福田さん。「ドーナツ片手に『散策しようか』と歩く人が増えるといい」と願っている。

 営業時間は午前10時半〜午後6時(売り切れ次第終了)。水、木曜日が定休。