アスリートを支える妻。青谷さんの料理教室開講!
アスリートを支える妻。青谷さんの料理教室開講!

北海道日本ハムファイターズで活躍する投手の鍵谷陽平選手を夫に持ち、料理研究家でもある元俳優の青谷優衣が、アスリートの体作りに特化したリアルなおうちごはんを披露! おいしいのにヘルシーで、ボディメイクやパフォーマンスの向上に最適の、男性でも気軽に作れる絶品レシピをご紹介。

今回考案してくれたのは、低糖質で食物繊維が豊富な大根をたっぷり使った、あんかけのパリパリチキンだ。ボディビルドに励みたい人だけでなく、春からの新生活にお疲れぎみの人にもオススメな、疲労が吹っ飛ぶレシピをどうぞ!

美人妻にして料理研究家。自身の料理教室には多くのアスリート妻が集う
美人妻にして料理研究家。自身の料理教室には多くのアスリート妻が集う

■良質な食材を求め、都内で新鮮な野菜を栽培する農園へ

まずは最適な食材探しから。青谷さんによれば「やはりその季節に採れる新鮮なお野菜を口にすると、ふんだんな栄養素を効率的に体の中に取り込めます。アスリートや健康を気にする人には、特に心がけてもらいたいですね」とのこと。

旬の野菜は栄養満点。体作りにぜひ摂取したい
旬の野菜は栄養満点。体作りにぜひ摂取したい

そこで今回は、東京都世田谷区の閑静な住宅地で質のよい野菜作りを続ける「安藤農園」へ。季節の野菜や切り花を含め年間70種以上もの作物を栽培し、さまざまなレストランに卸しをおこなったり、保育園の子どもたちを受け入れ農業体験を提供したりしている、地域密着型の都市農園だ。

大根の収穫は意外と力がいらない
大根の収穫は意外と力がいらない

ここで見つけました、立派な大根。土から顔を出した部分に手をかけてそのまま上へ引けば、ズポッと心地よく収穫できる。昨今の核家族主体の社会のことを考え、小さく成熟する品種を育てるなど、配慮と工夫を重ねているそうだ。「この1本はかわいらしいサイズ感ですが、ずっしり重みがあって、身がぎゅっと詰まっている感じ。切ってみると、水分がじゅわっと出てくる! やっぱり採れたてはぜんぜん違いますね。これなら無理なく生で食べられちゃいます!」

■自宅に戻って調理スタート。キーワードはタンパク質

新鮮な大根のおいしさを最大限に楽しむため、青谷さんがメイン料理として考案したのは「大根のあんかけパリパリチキン」。その響きだけでお腹が空いてきそうなネーミングだ。「昆布と鰹節から丁寧にだしを取ってあんを作り、チキンの焼き方を少しだけ工夫すれば、簡単においしく食が進む逸品ができあがりますよ」

サイドには、旬のホタルイカと菜の花を使ったゴマ酢味噌和え、大根とキュウリの浅漬け、大根とシメジの豆乳味噌汁を。「パリパリチキン」の作り方を中心に教えてもらいながら、さっそく料理していこう。

大根の皮は厚めにむくのがポイント
大根の皮は厚めにむくのがポイント

今回は、メインにもサイドディッシュにも、大根をふんだんに使用したラインナップ。その中でも「パリパリチキン」は、すりおろした生の状態をいただくメニューだ。「大根を生で食べたいときは、甘みが強い上のほうを生食用に用い、それ以外の部分は加熱するメニューなどに使うのがおすすめ。また、皮付近は辛みが強く、火を通すときも味の染みがあまりよくないとされているので、皮を厚めにむいてくださいね」

みぞれあんにするための大根おろしは、ざるの上にキッチンペーパーを敷いて、搾らずにふわっとのせる。「水っぽいからと搾ってしまうと、大根がパサパサにかたくなってしまうんです。こうすると大根自身の重さだけでふわっと水が切れて、ワンランク上の仕上がりに」

片手鍋に水と昆布を投入し、中火で沸騰する手前まで温めてだしを取る。80℃くらいのところで昆布を水から上げたら、次は鰹節をサッと入れて85℃程度まで温めると、香り高い極上のだしに。青谷さんによると「沸騰させるとえぐみや渋みが出てしまうので、直前のところで火を止めるのがコツです」とのこと。

鶏肉は両面に軽く塩を振り、10分ほど放置。塩がなじむと水が出てくるので、キッチンペーパーで丁寧に拭き取る。「パリパリに焼き上げるためには、ここでしっかり水を拭いておくのがポイント! 時間があれば、皮の面を上にして30分ほど冷蔵庫で寝かせましょう。冷蔵庫の中は乾燥しているので、こうすると水気が飛んで、焼き上がりの食感が変わります」

しっかり鶏肉の水気を取ったら、いよいよ焼くプロセスに。油を大さじ1程度鍋に入れて中火で熱し、温まったら皮を下にしてチキンを熱する。

別の鍋でギュッと押さえて圧をかけるのが、鶏皮をパリパリに仕上げるポイント
別の鍋でギュッと押さえて圧をかけるのが、鶏皮をパリパリに仕上げるポイント

ここからが、青谷さんの伝授するパリパリ食感のためのテクニック! 鍋の中で熱している鶏肉の上にアルミホイルを敷き、別の鍋を重しにして、ギュッと上から押すのだ。「皮がぴったりとフライパンにくっつくように、すみずみまで圧をかけます。30秒くらい押したら、あとはお鍋を上に置いたまま、5分くらい放置。しっかり押さえながらじっくりと火を通したらひっくり返し、あとはフタをせずそのままもう片方の面をしっかり焼いていきます」。このひと手間で、パリパリの食感が主役のソテーが完成するのだ。

皮目もしっかりパリッと仕上がった
皮目もしっかりパリッと仕上がった

続いて、やみつきになるトロトロのあん作り。まずは片栗粉を除くみぞれあん用の調味料を火にかける。温めることで砂糖がしっかりだし汁に溶け、まろやかな口当たりに。その後、大さじ1程度の水に溶かした水溶き片栗粉を、様子を見ながら少しずつ鍋へ。ふつふつと沸騰させ、ちょうどよい硬さになるまでおたまでかき混ぜる。

あんは、最初に温めて砂糖を溶かしてから水溶き片栗粉を投入
あんは、最初に温めて砂糖を溶かしてから水溶き片栗粉を投入

焼き上がったあと縦に1回、横に3回ほどナイフを入れてカットしたチキンを皿に盛り、大根おろしを手で多めにのせて、その上からたっぷりとあんを回しかける。さらに千切りにした大葉とミョウガをふわりとかければ、メインディッシュのできあがり!

サイドには、すりゴマと白味噌を使ったホタルイカと菜の花のゴマ酢味噌和え。

春が旬のホタルイカをおいしく食べるには下処理を怠らず、目と中骨をピンセットで取り除くのがポイント
春が旬のホタルイカをおいしく食べるには下処理を怠らず、目と中骨をピンセットで取り除くのがポイント

そして、塩昆布や酢、砂糖に鷹の爪でピリッとパンチを効かせた大根とキュウリの浅漬け、クリーミーな味わいが特徴の大根とシメジの豆乳味噌汁を。これらのレシピは、ページの下部分で紹介!

塩昆布での味付けと鷹の爪のアクセントで締まった味に
塩昆布での味付けと鷹の爪のアクセントで締まった味に

できあがった料理を食卓に並べて、いざ実食。「今回は大根をメインに、春野菜をたっぷり摂れるメニューを考えてみました。大根は糖質が少なく食物繊維がたっぷり入った、ヘルシーな野菜。抗酸化作用が高いといわれていますし、おなかに優しくてダイエット効果も期待できます。お肉と組み合わせてみぞれあんかけにすると、無理なくたっぷり食べられて、体の疲れもケアしてくれるんですよ」。上に大葉やミョウガといった香り高い薬味をふんだんにのせれば、食欲増進効果が。「新生活で環境が変わって疲れを覚えている人にも、オススメしたいひと皿です」

タンパク質豊富なレシピを実食
タンパク質豊富なレシピを実食

しっかりと体の疲れを取り除いてビルドアップ効果を狙っていきたいアスリート食のキーワードは、多くの種類のタンパク質と、抗酸化作用の高い食材とのマッチング。「今回もチキンを中心にしつつ、魚介類のホタルイカや大豆が原料の豆乳を用いて、さまざまな種類のタンパク質を一膳で摂れるようにレシピを組み立てました。また、疲労回復効果の高いお酢をたくさん使っているのも特徴。体は疲れると酸化してしまうのですが、お酢をふんだんに摂ることで身体の中をアルカリ性に保ち、疲れづらい状態へ戻してくれます」

タンパク質を豊富に摂取したい人も、ひとつの食材だけに頼ろうとせず、複数の種類を取り入れることがポイントだそうだ。今回青谷さんが作った残りのメニューのレシピは、以下で紹介するのでぜひチェックを。おいしくしっかり食べて、理想のヘルシーな体へ近づこう!

大根のあんかけパリパリチキン、ホタルイカと菜の花のゴマ酢味噌和え、大根とキュウリの浅漬け、大根とシメジの豆乳味噌汁
大根のあんかけパリパリチキン、ホタルイカと菜の花のゴマ酢味噌和え、大根とキュウリの浅漬け、大根とシメジの豆乳味噌汁

【今回作った料理のレシピ】

【材料/大根のあんかけパリパリチキン】(2人分)
大根 1/4本
鶏もも肉 1枚
大葉 2枚
ミョウガ 1/4個

〈みぞれあん用の調味料〉
だし汁 100ml
砂糖 小さじ2
醤油 大さじ1
料理酒 大さじ1
みりん 大さじ1
片栗粉 大さじ1(※調理手順は本文を参考にしてください)

【材料/ホタルイカと菜の花のゴマ酢味噌和え】(2〜3人分)
ホタルイカ 7〜10匹
菜の花 2〜3束
ゴマ 大さじ3
白味噌 大さじ2
酢 大さじ1
砂糖 小さじ2
1. ホタルイカの目、口、骨を取り除き、塩ゆでする。ゴマはフライパンで軽く炒り、すりこぎですっておく。
2. 菜の花をサッと塩ゆでし、冷水にさらして熱を取る。手で搾って水を切ったら、食べやすいよう4等分くらいの大きさにカット。
3. 酢半量と白味噌、砂糖を鍋に入れ、弱火にかける。ツヤが出てきたら残りの酢を加え、好みのかたさになるまで練る。
4. 調味料を火から下ろし、すりゴマと混ぜ合わせて、食べる直前にホタルイカと菜の花を和える。

【材料/大根とキュウリの浅漬け】(2〜3人分)
大根 1/8本
キュウリ 1/2本
塩昆布 大さじ2
砂糖 小さじ1/2
酢 小さじ2
鷹の爪 少々

1. 大根を薄いイチョウ切りにカットし、キュウリを斜めに薄くスライス。分量外の塩ひとつまみをまぶして10分置き、野菜から出てきた水を搾る。
2. 水が切れたら調味料を混ぜ合わせ、30分ほど冷蔵庫で寝かせて完成。

【材料/大根とシメジの豆乳味噌汁】(2〜3人分)
だし汁 500ml
大根 1/4本
シメジ 1/2株
味噌 大さじ1.5
酒 小さじ1
みりん 小さじ1
豆乳 200ml
1. だし汁を鍋に入れ、中火にかける。
2. 大根の皮をむき、3〜5mm程度の厚さのイチョウ切りに。鍋に入れ、くたくたになるまでしっかり煮込む。
3. シメジは根元の石づきの部分をカットし手で割いて鍋に入れ、酒とみりんを加えてさらに熱する。
4. 大根が柔らかくなったら火を止めて粗熱を冷まし、再び弱火にかけて温めながら豆乳を入れる。
5. 沸騰する前に火を止め、椀によそう。

取材・文/山下美咲 取材協力/安藤智一(安藤農園) 撮影/細野晋司 ヘアメイク/清水恵美子(maroonbrand)