愛犬のための手作りご飯のレシピを紹介する『獣医師が考案した 長生き犬ごはん』や、『獣医師が考案した 一汁一菜長生き犬ごはん』の著者であり獣医師の林美彩先生が、2024年2月に“犬の腸活”にフォーカスした『獣医師が考案したワンコの長生き腸活ごはん』(世界文化社)を出版しました。

 林先生は、臨床の現場で働いていたときにサプリメントの相談を受けたことがきっかけで東洋医学の勉強をスタート。現在は往診専門の『chicoどうぶつ診療所』にて、代替療法に着目した“犬に優しい治療”を提供しています。

 手作り食や腸活は、犬の健康面だけでなく、飼い主と愛犬との関係にもすばらしい恩恵をもたらしてくれるものだと、林先生は話します。

手作り食の恩恵

 実家が動物病院だったため、幼少期のころから犬や猫とふれあうことが多かった林先生。手作り食を始めたきっかけは、愛犬に与えていたごはんに疑問を持ったことでした。また同時期に、実家の動物病院のスタッフが手作り食を学び始めていたこともあり、林先生は自分も取り入れてみようと、愛犬に手作りのご飯を作って与えるようになります。

「愛犬がすごく喜んで、よく食べてくれました。と同時に、愛犬と向き合っていく中で、手作り食が愛犬とのコミュニケーションツールになることを実感しました。飼い主が愛犬にしてあげられることの選択肢が増えるって、互いの関係性にもよい変化があるのだと思います」

今年2月に発売された林美彩先生の最新著書『獣医師が考案したワンコの長生き腸活ごはん』の表紙(世界文化社提供)

 また林先生は、手作り食を食べさせることで得られる犬とのよりよい関係のうえに成り立つ暮らしが、健康長寿にもいい効果をもたらしてくれると考えます。

「犬がうれしそうにしている姿を見ると飼い主もうれしいし、うれしそうな飼い主を見て犬はもっとうれしくなる。メンタルが上向きポジティブな循環が生まれていきます。犬も飼い主もハッピーであることは、ストレスフリーで長生きにもつながっていくと私は考えています。どんな子でも最後まで楽しく過ごしてくれて、最後を穏やかに迎えてくれる健康長寿こそが、私の理想です」

“腸活レシピ”でもっと元気に!

『獣医師が考案したワンコの長生き腸活ごはん』では、犬の腸活の基本知識や手軽に始められるレシピが掲載されていて、これから腸活を始める人にもわかりやすい内容となっています。

『獣医師が考案したワンコの長生き腸活ごはん』は、愛犬の腸内環境の状態を確認する方法や疑問に答えるQ&Aページなど、知識ページやコラムも満載(世界文化社提供)

 犬の腸には、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が存在し、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れるとさまざまな不調の原因になる恐れがあるとされています。免疫の7割は腸が担っているといわれ、腸内環境を整えてしっかりと働けるようにすることはとても大事なことです。

「免疫がしっかり働いていると抵抗力がつき、病気にかかりにくくなったり、治療が必要になった際も薬の効きが良くなったりします。また腸は、脳や腎臓などいろいろな臓器と相関関係にあります。そのため腸が乱れると他の臓器も乱れてきてしまう。腸を整えていくことが結果的に、不調を減らし、全身のケアにもつながっていくのです」

『獣医師が考案したワンコの長生き腸活ごはん』より。腸によいとされる食材ごとにレシピが紹介されている。食材の知識を深めることにも!(世界文化社提供)

 また、免疫がしっかり働いていると、肥満予防や老化予防にも効果が期待できるほか、腸内環境を整えることで必須アミノ酸のトリプトファンが吸収されやすくなり、それが脳に送られることで精神安定にも期待ができるとされています。

「すでに疾患を抱えている子の場合は、疾患によって避けたい食材がありますので、よく獣医師に相談をしてほしいと思います。そうでなければ、腸活はどんな子にでもやってほしい。パピーのころから少しずつ腸活を始めても良いし、シニアだから遅いということもありません」

取り分けレシピで飼い主も!

『獣医師が考案した ワンコの長生き腸活ごはん』の中のレシピは、腸の健康のためにいい食材をバランスよく厳選。それでいて、簡単かつ食材も気軽に手に入るものばかりなのがうれしいポイントで、飼い主も楽しみながら愛犬のご飯に手作り食を取り入れられる内容になっています。

『獣医師が考案したワンコの長生き腸活ごはん』より。紹介されているレシピは、味をつければ飼い主さんの腸活にもなる(世界文化社提供)

 また、レシピは味付けをすれば飼い主もおいしくいただけるものばかり。手作り食に不安があったり未経験の人は、本書を参考にまず自分の腸活として、試してみるのもおすすめです。

「まずは飼い主さんが試してみて、腸活の効果を実感できたなら、味をつける前に愛犬におすそ分けするスタイルから入るのもおすすめです。まずは飼い主が実践することで、安心して食べさせてあげられもしますよね。最初から完璧を目指す必要はありません。楽しく腸活に取り組んで、飼い主さんも愛犬もよりハッピーになってもらえたらうれしいです」

林 美彩
獣医師。大学卒業後、動物病院の勤務医として働きながら代替療法を学ぶ。病気にならない体づくりや家庭でできるケアを広めるため、2018年3月『chicoどうぶつ診療所』を開院。埼玉県を拠点に飼い主からのさまざまな相談を受けている。地元北海道で新たに診療所を開院予定。

https://www.chicoah.com/

『獣医師が考案したワンコの長生き腸活ごはん』
著者:林 美彩
発行:世界文化社
本体価格:税込み1,925円
※画像をクリックすると世界文化社の該当ページに飛びます

(取材・文/栗坂ゆきの)