2024年4月29日(現地時間)、カタールで開催されているU-23アジアカップ兼パリ五輪アジア最終予選の準決勝で大岩ジャパンがイラクと対戦した。  

 4-3-3システムで臨んだ日本は立ち上がりからアグレッシブなサッカーを展開。3-4-3システム(守備時は5バック気味)のイラクに対し、左サイドの平河悠(FC町田ゼルビア)を軸に攻め込む時間帯が続いた。

 その前半から中盤で良い仕事をしていたのが藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)だ。アンカーの位置でボールを落ち着かせつつ、守備の局面になれば危険なスペースを埋める。そして29分には絶妙のフィードから細谷真大(柏レイソル)の先制弾を演出した。さらに42分には巧みなダイレクトパスから荒木遼太郎(FC東京)のゴールをアシスト。フィールドの支配者としてピッチに君臨した。  

 トラップ、ターン、右足のシュートと一連の流れが美しかった細谷の、落ち着いてゴールに蹴り込んだ荒木のフィニッシュワークはいずれも見事だったが、このイラク戦で強調して触れるべきはやはり藤田だろう。
 
 決定的な仕事だけでなく、後半に入ってもセカンドボールの処理など地味な作業も丹念にこなした藤田。古い表現かもしれないが、中盤を制す者が試合を制す。それをイラク戦で体現していたのが彼だった。

 それにしても、荒木に落としたボールは文字通り完璧だった。大畑歩夢(浦和レッズ)のクロスをダイレクトで、しかも浮かさず荒木の足もとにピタッと合わせたパスの技術、センスは称賛に値。試合を重ねて疲労が蓄積するなかでも縦横無尽に走り回る藤田はパリ五輪出場獲得(結果は日本が2-0で勝利)の原動力になった。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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