「Kiss」(講談社)にて2001年から2010年まで連載された『のだめカンタービレ』は、天才的なピアノのセンスを持つ「のだめ」こと野田恵と、指揮者を目指す青年・千秋真一が繰り広げるラブコメディ。単行本全25巻が刊行され、2006年にはTVドラマ化、2007年にはTVアニメ化され人気を博した。連載20周年を記念して、2021年には全13巻で新装版が刊行、2023年には配信フェスとミュージカルも大好評のうちに終了した。

そして、ついにリアルなフェスティヴァル形式での公演が決定。『のだめカンタービレ・クラシック・フェスティヴァル in KYOTO』と題し、2024年5月3日(金・祝)〜5月5日(日)の3日間、ロームシアター京都にて行われる。本企画について、各プログラムの詳細が明らかとなったので、改めて紹介していく。(文=神山薫)

第3弾の今回は、5月5日(日)のプログラムをご紹介する。

この日は、『のだめカンタービレ』の世界から少し離れ、より幅広くさまざまなクラシック音楽を楽しく聴ける人気のコンサートをオムニバスで揃えた。1時間弱のプログラムが合計5つ用意されて、一日どっぷりとクラシック音楽のいろいろな楽しみ方を体験できるように構成されている。

メイン・ホールでは、オペラシティのコンサートホールで2年前に開催され、反響の大きかった『クラシカルLEGENDコンサート』が2つ連続で開催される。人気声優と人気クラシック・ピアニストが異色の共演で、大作曲家のライフ・ストーリーをストーリー・テリングしながら、その音楽の魅力を生の演奏で披露して好評であったが、今回のフェスにおいては主要曲1曲をオーケストラが演奏することが発表されており、東京で見ることができなかった演出が楽しめそうである。


『クラシカルLEGENDコンサート 第1部ドビュッシー愛の炎編』には、人気声優の岡本信彦がストーリー・テリングを担当し、時にドビュッシーに扮する。ドビュッシーの危険な愛の逃避行が、「喜びの島」や交響的素描「海」を生み出していった事実を浮き彫りにしていく。ソロ・ピアノと2台ピアノは、石井琢磨と髙木竜馬のウィーン留学コンビの息のあった演奏が繰り広げられ、交響的素描「海」の第1楽章でドビュッシーの印象派と言われた色彩豊かなオーケストラ・サウンドを聴くことができる。


『第2部ラフマニノフとスクリャービン炎の青春編』では、同じく人気声優の狩野翔と中澤まさともが登場してスクリャービンとラフマニノフを熱演。作曲家でピアニストでもあった2人の熱い友情とライバル関係を浮き彫りにしながら、スクリャービンの左手のための作品群が生まれた背景やラフマニノフの名曲の数々が生まれた背景と音楽そのものを紹介していく。ドビュッシーの海同様、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」第1楽章では、髙木竜馬のソロ・ピアノにあわせて、竹内健人指揮によるStyle KYOTO管弦楽団が登場する。

スクリャービンの左手のピアノ作品や悲愴エチュードなど埋もれた名曲を堪能できる一方で、有名なラフマニノフのエチュード「鐘」が聴けるのも嬉しい。


そして、メイン・ホールでフェスのラストを飾るのは、東京と大阪で人気となったピアニストの石井琢磨と菊池亮太のコンビによる『躍るクラシック・コンサート』の最新版。心躍るクラシック音楽をテーマに様々な名曲を聴かせて人気となってきたこのシリーズであるが、今回は2人が今最も演奏したい2曲にStyle KYOTO管弦楽団と新たに挑戦!菊池亮太は、ガーシュインが「ラプソディ・イン・ブルー」を超える名作とするべく世に送り出した「セカンド・ラプソディ」を演奏し、石井琢磨はここしばらく演奏してきたヨハン・シュトラウス2世の「皇帝円舞曲」をなんと新しく協奏曲形式に編曲し、今回のコンサートが初披露となる。2人のファンにとっては絶対に見逃せないコンサートとなりそうだ。