第68回岸田國士戯曲賞を受賞した池田亮『ハートランド』の書籍化が決定した。授賞式でのコメントも届いたので紹介する。

『ハートランド/養生』

『ハートランド/養生』

2024年5月7日(火)に第68回岸田國士戯曲賞の授賞式が、学士会館にて行われ、『ハートランド』で受賞した池田亮が出席。

本賞は、白水社が主催し、演劇界に新たなる新風を吹き込む新人劇作家の奨励と育成を目的に、1955年に新劇戯曲賞として設置され、1961年には「新劇」岸田戯曲賞、1979年に岸田國士戯曲賞と改称され今日に至る。新人劇作家の登竜門とされることから、「演劇界の芥川賞」とも称されている。

授賞式より  池田亮

授賞式より  池田亮

賞状と、正賞の時計、副賞が贈られた池田亮は受賞者挨拶で「自分の創作は『痛み』が根幹になっている。どの作品を作る時も、色々な自分の痛みを発端にしているのに、創作していくとまた別の痛みが加わって、もう痛みのループ。でも、やめられない。そこから、なにか飛躍した作品を作りたいと思い、自分を問い直して作ったのが『ハートランド』です。賛否が割れて、長いという感想が多いことにより燃えて、ある種、自分を取り戻したんじゃないかと思っています。今回この賞をいただいて、もっと次に、次にどんどん進んで良いんだなと思いました。これからは、今までのことを含めて、また新しい表現というところで、色々な作品を作っていくような作家になりたい」とコメント。受賞への感謝と、更なる創作活動への意気込みを述べた。

注目の次回作には、9月にシアタートラムで上演の新作『球体の球体』が控えている。

池田亮(いけだ りょう) プロフィール

脚本家・演出家・俳優・造形作家など多方面で活躍。1992年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。2015年「ゆうめい」を結成。ハンドメイドショップ「トイフクロ」運営。創作の多面性を追求している。
最近の作品に、劇団ゆうめい『あかあか』、『養生』、デヴィッド・ルヴォー演出・香取慎吾主演の『テラヤマキャバレー』脚本、フジテレビ『美大の駅伝』監督・脚本、『クリスタルハンドルの水栓リング』発起・カプセルトイ原型など。『ハートランド』にて、第68回岸田國士戯曲賞を受賞。