ミュージカル学科で夢を追いかける男子学生たちを描いたアニメで、メディアミックスとしてミュージカル化し、これまでに8公演が上演された『スタミュ』。そのスタッフが再集結して制作し、2023年春に放送されたオリジナルアニメ『Opus.COLORs』が、パーセプションステージ『Opus.COLORs』として舞台化。5月10日(金)から品川プリンスホテル クラブeXにて上演中だ。開幕を前に、出演する岸本勇太、磯野亨、結城伽寿也による囲み取材が行われた。

同作は作品を描く「アーティスト」とそれをプロデュースする「グレーダー」が2人1組で作り上げる、没入型デジタル絵画「パーセプションアート」という架空のアートに青春をかける高校生たちのドラマ。囲み取材に登場したのは、同じ学校に通う3人の幼馴染を演じる岸本勇太、磯野亨、結城伽寿也。主演の岸本は「パーセプションアート」の生みの親である、月見里(やまなし)夫妻の息子で、超感覚を持つ主人公月見里 和哉役を演じる。ある時をキッカケに彼らと距離を取るようになってしまった多岐瀬 響は磯野亨が演じ、二人の「追いかけっこ」関係をチャーミングにからかい、時に助言する都築 純を結城伽寿也が務める。そのほか6組12名がメインとなり、物語を繰り広げる。

作品の主題となる「パーセプションアート」は鑑賞者の感覚にダイレクトに影響を与える没入型デジタル絵画であることから、今回の舞台も「没入型」をテーマにした演出が加えられている。「劇場全体を巻き込んでひとつのアートが出来上がっています。皆様もアートのひとつと思っていただいてもいいくらいの没入型になっています」と岸本。「本番2日前に始まった場当たり(稽古)でセットや照明がついて、僕らも「今そうなってるんだ!」と気づくこともあるので、本番になってこの作品は育っていくんじゃないかなと思います」と期待を膨らませる。

デジタルアートだけでなく、品川プリンスホテル クラブ eXの円形ステージもフル活用した演出で没入感を得られるという。結城が「それぞれの通路を通ったり、両サイドのサブステージに移動したりと、お客様と僕たちの距離がゼロになることが多いです。気づいたら隣にいることもありますし、もはや最前がどこかわからないような、普段はありえない距離で演じます。僕自身も体験したことがない演技なので、本番が始まってみないと僕らもどうなるかわからない」と言うと、岸本が「お客様に最後のピースをはめてもらいましょう」と続ける。

「響(磯野)なんて昨日、一昨日とずっと迷子になってた(笑)」(結城)と、初めてクラブexの舞台を踏む磯野は「逆の出口から出てしまったりして。裏動線でどこに行ったらいいかわからなくて走り回っています」と円形ステージだからこその苦悩も明かす。岸本も「稽古の最初の方は、体の向きにも苦労しました。一方のお客様の方だけを見ていたら、もう一方はお尻を向けることになってしまうので、極力(全方向に向けるよう)意識しました」と、同劇場ならではのエピソードを話した。

同作は架空のアートだけでなく、各作品に楽曲が紐付くところも特徴のひとつ。磯野は「原作でも使われている曲に僕たちのパフォーマンスが加わると、それぞれのペアの色が出るので違いに注目していただけたら」と見どころを語った。

最後にそれぞれコメントを残した。

左から結城伽寿也、岸本勇太、磯野亨

左から結城伽寿也、岸本勇太、磯野亨

結城「お客様を隣に感じられるような距離感でお芝居できるので、楽しみとドキドキとが半分半分ですが、楽しんでいただけるように、僕らも1つ1つ言葉を丁寧に紡いでいきます。展開が早いんですけれども、お客様がお話の迷子にならないように、丁寧にシーンとシーンをのバトンを繋ぐ意識を持って、 しっかり最後までやり遂げたいと思っておりますので、千秋楽まで応援のほどよろしくお願いします」

磯野「『Opus.COLORs』という作品自体が専門用語も多いですし、結構奥深いんです。ご観劇いただいた皆様が心を彩って帰っていただけるような作品にできたらと思っております。僕個人としては、響が最後に何年も抱えていたものを吐き出すシーンが一番感情が入るところでありますし、注目していただきたいです。彼の人生をしっかり演じていけるように頑張ります」

岸本「キラキラした世界観だけでなく、それぞれに抱えた過去や葛藤が描かれています。役者が身体表現できることが『パスステ』の魅力だと思うので、キャスト一人一人が生身の人間である意味を感じながらお届けできたらと思います。また僕らが提案していった部分もありますが、お客様から見ても「もっとこうできるな」みたいなことが見つかると思うので、柔らかく考えていきながら作品を広げられたらと思っております」

パーセプションステージ『Opus.COLORs』は5月10日(金)〜5月19日(日)に、品川プリンスホテル クラブ eXにて上演中。

取材・文・囲み撮影=川井美波