自然豊かな宮城県気仙沼市の大島。その大島にある標高235メートルの「亀山」の山頂からはリアス式海岸の大パノラマが広がります。しかし、山頂へのアクセスは土日・祝日に運行されるシャトルバスか徒歩に限られています。そうしたなか持ち上がったのがモノレールの整備計画です。

TBC

市によりますとモノレールは中腹にある駐車場と山頂とのおよそ410メートルを20人乗り2両編成の車両で結びます。山頂には展望テラスや遊具などを整備。亀山からの絶景を観光資源としてPRするための公設民営の事業です。

大島の住民:
「大島のたくさんの客が来てくれて景色を見てもらえるのはとても楽しみだし良いなと思う」

気仙沼市産業部畠山勉部長

気仙沼市産業部畠山勉部長:
「亀山モノレールを整備する事でアクセス手段が確立されれば老若男女、健脚でない方を含め山頂に自分の身を置いて五感で雰囲気を味わえる機会がいよいよ現実になる」

事業費膨らみ…市の負担増も「何としてもやり遂げたい」

大島にはかつてリフトがありました。1967年に開業した亀山リフトです。麓から山頂付近までを結びピーク時には年間12万人が利用しましたが、施設の老朽化などで利用者が年々減少し毎年、赤字が続いていました。2011年には東日本大震災の津波と火災で消失しました。市は国にリフトの復旧を要望しましたが観光施設のため復興予算では認められませんでした。その後も交渉を重ね2022年、デジタルを活用して地域活性化を目指す国の交付金に採択されモノレールの事業化が決まりました。開業後の運営を担う予定の事業者は期待を寄せます。

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気仙沼産業センター千田満穂会長:
「亀山の風光明媚な姿を多く人に見て貰えれば、また何らかの機会に行ってみようとか、今度は子供達、孫を連れて来ようとか、一回で終わらないよう、何回も長い歳月をかけて訪れる人がいると思う。亀山の風光明媚を絶対にみんなに知らせなくてはと」

気仙沼産業センター千田満穂会長

一方で、課題もあります。当初9億9000万円だった事業費は、資材高騰や軟弱地盤対策工事のため16億9000万円に増えました。加えて山頂の整備に3億5000万円がかかります。市は事業費全体の7割程度を国からの交付金で賄う方針ですが市独自の負担はおよそ6億円の見込みです。

気仙沼市産業部畠山勉部長:
「大変厳しい状況だが市長以下この事業は何としてもやり遂げる。これは気仙沼市にとって最後の復興にもなるし三陸圏域の地方創生の起爆剤」

市がハード面での「最後の復興事業」と位置づける亀山モノレール。この春にも着工し2025年度中の開業を目指します。