宮城県石巻市の下水道工事を巡る官製談合事件で、逮捕された職員らは、入札の2週間ほど前、最低価格を算出できる「設計書の写し」を業者側に直接、手渡ししていたと見られることが警察への取材でわかりました。

官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された石巻市下水道建設課の課長補佐・星洋一容疑者(50)、石巻市下水道建設課の係長・寺内友和容疑者(46)、また業者側の遠藤興業執行役員・遠藤光弥容疑者(67)の身柄は11日、仙台地方検察庁に送られました。

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千葉陽太記者:
「全長およそ58メートルのこちらの下水道を巡る工事が、不正に落札されたということです」

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警察によりますと、星容疑者と寺内容疑者は、去年2月に石巻市が行った下水道工事の入札を巡り、最低価格を算出できる設計書を遠藤容疑者に渡し、遠藤興業に工事を不正に落札させた疑いが持たれています。設計書は、工事内容の内訳などが書かれた市の内部資料で、星容疑者らは内容を確認できる立場にありました。

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警察などによりますと、星容疑者らは、入札のおよそ2週間前「設計書の写し」を遠藤容疑者に直接手渡ししていたと見られています。

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遠藤興業は、最低制限価格を25万円上回るおよそ4370万円で工事を落札していました。

過去5年間の記録から見えてきたことは…

tbcが過去5年間の記録を調べたところ、遠藤興業は最低制限価格が設定された石巻市の公共工事を、一般競争入札で20件落札し、このうち8件は、最低制限価格と落札額との差が1000円未満。およそ10億8000万円の工事をわずか「1円差」で落札したケースもありました。

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石巻市は、談合を疑うことはなかったと説明します。

石巻市総務部 阿部金也部長

石巻市総務部 阿部金也部長:
「土木関係の積算は、(業者側の)積算システムの精度も向上していて、積算する内容についてはかなり精度の高いものができると考えている」

一部市議から疑問の声が

一方、一部の市議からは疑問視する声が出ていたといいます。

石巻市総務部 阿部金也部長:
「(市議から)質問を受けていたことは把握しています。(Q それを受けて調査をしたり話を聞くことはしていなかったのか?)しておりません、しておりません」

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警察は、捜査に支障が出るとして3人の認否を明らかにしていません。今後、事件の経緯を調べると共に、全容解明を進める方針です。

今回の事件を改めて整理します。

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警察などによりますと、去年2月1日頃に市の職員である星容疑者らから遠藤容疑者に「設計書の写し」が渡されたとみられています。設計書は工事内容がわかる内部資料で星容疑者と寺内容疑者も内容を確認できる立場にいました。設計書は入札の前日までに管財課長が機密書類として封筒に入れ鍵付きのロッカーに保管し、入札当日に開封するということです。入札は去年2月15日に行われました。今回、設計書の原本は市役所に残っていますので星容疑者らは、写しを業者に渡したと見られています。