なにわ男子の道枝駿佑が主演を務めるドラマ「マルス-ゼロの革命-」(毎週火曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)が放送中。同作は、謎多きカリスマ転校生・ゼロ(道枝)に導かれ、“マルス”という動画集団を結成した落ちこぼれ高校生たちが大人社会に反旗を翻していく青春“クーデター”サスペンスだ。

2月20日に放送された第5話では、マルスの情報を宿敵・クロッキー社に流していた裏切り者が判明し、悲劇的な事件が起こるなど怒濤(どとう)の展開を迎えた。後半戦の幕開けともいえる、気になる2月27日(火)の第6話を前に、WEBザテレビジョンでは、ドラマプロデューサー・田中真由子氏にインタビューを実施。道枝の“カリスマ性”や、作品の狙い、今後の見どころなどを聞いた。

■荒々しくミステリアスな役柄で、世間のイメージを崩せるのでは

――今作の主演・道枝さんのキャスティング理由を教えてください。


優しくふんわりしていて、癒やし系。そんなパブリックイメージのある道枝さんに、荒々しくミステリアスな役柄を演じていただけたら、世間のイメージを崩せるのではないか。インパクトを与えられるのではないかと思いました。道枝さんご自身も内に熱いものを秘めた方だと感じており、その点も演じるゼロと合致すると思い、今回ご一緒することになりました。

これは実際に撮影してみて改めて感じたことなのですが、ゼロがとても厳しいことを言ったりする場面もあるのですが、道枝さんに演じて頂くと、キツく見えすぎず、ゼロの人間味も感じられる。これは道枝さんにしか出せない雰囲気だなと思います。

■心の中に熱いものを秘めている方だと感じます

――普段道枝さんと接する中で熱いものを感じる瞬間はありますか?

道枝さんは恐らくそれを敢えて表に出さないで生きてこられたんだと思います。いろいろな荒波がある中で、道枝さんのようなポジションに到達するには、相当な思いや努力がないと成し得ないことですよね。きっと心の中には熱いものを秘めていると感じています。

――道枝さんは初の金髪の役作りで挑まれていますが、狙いがあるのでしょうか。

ゼロのキャラクターイメージはもちろんのこと、まずは道枝さんのパブリックイメージを見た目からも崩すという意図。そして前クールで出演されていた「マイ・セカンド・アオハル」(2023年、TBS系)のかわいい年下男子と、今作のゼロが真逆の役柄なので、前作のイメージをどう覆すか考えたというのも一つの理由です。
■今日はゼロ。明日はみっちー。

――金髪も相まってガラッと印象が変わっていますね。撮影が進むにつれて、お芝居の向き合い方など道枝さんの変化を感じた点はありますか?

初めから変わらない点として、とても頑張り屋さんで、自分に厳しく貪欲であるところ。それでいてとても素直です。考えが凝り固まっておらず、言われたことを素直に何回でも修正するし、挑戦しようとする姿勢があります。そして、監督やスタッフが求めるものを体現しようとして、できるまでやる貪欲さ。そんな道枝さんの頑張りに周りが引っ張られていく感じです。

ドラマの期間もグループでいろいろな活動をしながら、今日はゼロ、明日はみっちー。という感じで切り替えが大変だと思いますが、ゼロになりきるという決意と集中力で、真摯(しんし)に作品に取り組まれている印象です。

――そんな道枝さんの“カリスマ性”を感じる部分はどんなところだと思いますか?

第一にお顔も立ち姿も美しい(笑)。そして彼の貪欲さが、カリスマ性につながっていると思います。

■対照的な2人がいいコンビになるのでは

――ドラマを見ていると、ゼロを通じて道枝さんのカリスマ性や貪欲さがひしひしと伝わってくるように感じます。一方、ゼロの右腕となる“アイコン”こと渾一を演じる板垣李光人さんについて、キャスティング理由を教えてください。

渾一という役柄は、視聴者の視点を背負っていくポジションです。ゼロが屋上から飛び降りたり、突拍子もないことをする中で、一般の目線で驚き、そんな渾一の目線を通して物語を追っていく。その部分をしっかり背負ってくださる方であるということと、道枝さん演じるゼロと絶妙なバランス感があり、対照的な2人がいいコンビになるのではと思い板垣さんにお願いしました。

――道枝さんと板垣さんはプライベートでも仲がいいそうですが、撮影中のお二人はどんなコンビでしょうか?

とても仲がいいです。第1話終盤で2人きりの長いシーンがありましたが、カットが掛かった後に背中をポンポンとし合ったり、よく2人で励まし合いながら撮影しています。

■若者の口を伝ってピュアに発せられる熱いメッセージ

――ドラマ全体として「大人対若者」「SNS」「動画」といったテーマがありますが、そこに込めた狙いはなんでしょうか。

今回作品に携わっている中川(慎子)GPと、ドラマ「桜の塔」(2021年、テレビ朝日系)で、脚本の武藤将吾さんがご一緒したことがあり、その時は警察内部がテーマの大人のお話でした。武藤さんの脚本の良さの一つは、「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(2019年、日本テレビ系)や「家族ゲーム」(2013年、フジテレビ系)、「クローズZERO」シリーズといった若者の口を伝ってピュアに発せられる熱いメッセージを描くところだと思います。そこで今回は、高校生を主人公とした作品をやろうということになりました。

今作でもそんな武藤さんが熱い思いを脚本に込めて下さっています。例えば昔は若者が大人に抵抗する術が限られていたと思いますが、今はSNSがあるので、高校生でも世界中にその声を発信できる。そういった今の仕組みを取り入れつつ、“変わらないものは変わらない”生きるうえで大切で普遍的なメッセージ性も大事にしています。

■各話のひっくり返しや全体のバランスが絶妙

――武藤さんの脚本のすごさはどんな点だと思いますか?

老若男女誰しも共感できる熱いメッセージ性はもちろんのこと、構成がとにかく緻密です。今作の「マルス―」もSNSで考察を始めて下さっている方もいますが、前半からとにかく伏線を散りばめています。例えば第1話のラストでゼロが発した「この中(「マルス」のメンバー)の誰かがあいつを殺した」とか。このひと言で青春ストーリーが一気に復讐(ふくしゅう)の様相を呈します。その他にも、各話のひっくり返しや、全体のバランスが絶妙だなと感じています。

――毎話、ドラマ終盤では当初から想像もしなかった展開となり驚きます。では、いよいよ後半戦の幕開けとなる2月27日(火)放送の第6話以降の見どころを教えてください。

第5話でゼロが探していた「マルス」内の裏切り者が明らかとなり、メンバーの一人を悲劇が襲い、マルスのメンバーはバラバラになってしまいます。これまで各話、大人の闇と闘っては成敗して、その裏には必ず江口洋介さん演じる國見が出てきました。ゼロがエリ(大峰ユリホ)やウドと始めた初期のマルスと國見との因縁も明らかになっていき、ここからゼロと國見という宿敵との対決色がより濃くなっていきます。そして、一度バラバラになったマルスがどのように再び団結して、大人社会の闇を操る國見に立ち向かっていくのか…各々が考える「正義」にも注目しながら楽しんでいただきたいです。