毎週火曜にディズニープラスのスターで配信中のドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」で、細川ガラシャからインスパイアされた人物・戸田鞠子を演じているミステリアスな雰囲気の女性をご存知だろうか。3月5日に配信された第3話で華麗なる殺陣も披露した彼女は、澤井杏奈の名でも活動していたアンナ・サワイ。ガールズグループ・FAKYのリーダー、Annaとして活躍していた時期もあるサワイは、現在国際派俳優として世界を股に掛けて活躍している。そんなサワイのこれまでの軌跡を追う。

■初回から全世界で大ヒット

サワイが出演中の「SHOGUN 将軍」は、ジェームズ・クラベルが日本の戦国時代を舞台に書いた小説「SHOGUN」をハリウッドでドラマ化。吉井虎永役で主演を務める真田広之はプロデューサーにも名を連ねる他、コズモ・ジャーヴィス、浅野忠信、西岡徳馬、二階堂ふみ、平岳大ら豪華キャストがそろい踏み。2月27日に配信が開始されてからの6日間で、全世界再生回数900万回(ストリーム総時間を1、2話の合計時間で割り出して算出)を記録したことも話題になった通り、スケール感、映像美、何より“正しく描かれた日本”が世界に衝撃を与えている。その中で注目度が高まっているのが鞠子を好演しているサワイだ。

鞠子はキリシタンの心と侍の心の両方を併せ持った人物で、繊細でありながら芯の強さを持っている。通訳として流ちょうな英語を話し、殺陣も披露。凛とした佇まいは、画面に登場するとパッと目を引く存在となっている。

サワイは1992年にニュージーランドで生まれた。幼少期を香港やフィリピンなどで過ごした後、2002年に父親の仕事の関係で日本に移住。2004年にミュージカル「アニー」で舞台デビューし、2009年には韓国の歌手Rain(ピ)が主演を務めたアメリカ映画「ニンジャ・アサシン」でハリウッドデビューを果たしている。この作品では、主人公・雷蔵が子どもの頃から一緒に修行していた初恋の相手・キリコを演じた。

2006年に「avex audition 2006」の最終審査に合格して、エイベックスに所属していたこともあって、2012年には5人組のボーカルグループ「ARA」のメンバーとして音楽活動を行い、2013年にはFAKYのリーダー・Annaとして再デビュー。その後、俳優としての夢を追うために2018年12月にグループを卒業し、翌2019年にアメリカの大手芸能事務所WWE(ウィリアム・モリス・エンデヴァー・エンターテインメント)と契約を結んだ。

俳優に専念してからの躍進ぶりは目覚ましく、同年イギリスBBCのクライムドラマ「Giri / Haji」に出演。本木雅弘が演じるヤクザの組長・福原の娘・エイコを演じた。この作品では「SHOGUN 将軍」にも出演している平と共演した。同作は英国アカデミー賞TV作品賞をはじめ、多くの賞にノミネートされた。

■ハリウッドの人気シリーズ“ワイスピ”に出演!

そして2021年には、“ワイスピ”こと人気シリーズ「ワイルド・スピード」の9作目となる「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」に新ファミリー・エル役で出演。ドミニク(ヴィン・ディーゼル)やハン(サン・カン)たちとミッションに挑み、豪快にマシンガンをぶっ放す姿がインパクト大だった。

2022年には「Pachinko パチンコ」に出演。1910年代、日本統治下の韓国で育ち、その後、祖国を離れた主人公の女性・ソンジャを中心とした韓国系移民の人生を4代にわたって描いた作品で、ソンジャの孫・ソロモンの同僚であるナオミを演じている。2023年には「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」にも出演。ゴジラのテレビシリーズで、サワイは主演のカート・ラッセル、ワイアット・ラッセル親子と共に主要人物のケイトとして出演した。

アメリカを拠点にした2019年から、作品ごとにしっかりと爪痕を残し、俳優としてステップアップしてきたサワイ。流ちょうな英語とエキゾチックな顔立ちも大きな魅力となっており、ワールドワイドに活躍しているのが当然の成り行きのようにも感じる。今回の「SHOGUN 将軍」でも序盤から視聴者の記憶に残る演技を見せ、反響もどんどん大きくなっている。

「本当に時代劇初出演なの?」「毎回、鞠子殿が魅力的。容姿も話し方も美しい」「第3話のアンナ・サワイさんのなぎなたアクションが素晴らしくかっこいい」「鞠子様のなぎなた、カッコいい!!」などと、SNS上には賛辞の言葉があふれている。

3月12日(火)に配信される「SHOGUN 将軍」第4話でもサワイ“鞠子”の活躍に注目して見てもらいたい。

◆文=田中隆信