武道家とはかけ離れた〝ウラの顔〟とは――。女性に性的暴行を加えたなどとして、大阪地検は9日までに2021年東京五輪の空手男子組手75キロ級代表だった大阪府の会社員・西村拳被告(28)を準強制性交致傷、強制性交致傷の罪で在宅起訴した。地検は認否を明らかにしていない。

 起訴状によると、西村被告は22年ごろ、大阪府内で抵抗できない状態の女性を押さえ付け、性的暴行を加えて負傷させたという。大阪府警布施署が今年2月22日に書類送検していた。

 元世界王者の父・誠司氏の影響で3歳から空手を始めた西村被告は、近大進学後に全日本学生選手権の個人、団体を制するなど、日本屈指の選手に成長。端正なルックスと化粧水や乳液にこだわってつくり上げた美肌から「空手界のプリンス」と呼ばれ、全日本選手権に向けたビジュアルに起用された過去を持つ。

 空手界の中心選手の一人だったが、金メダルを期待された東京五輪は1次リーグ敗退に終わった。その西村被告を巡っては、かねて空手関係者の間で競技に対する姿勢を疑問視する声も上がっていた。日本代表OBは「昔から女グセは悪かったですよ。大会時に『また違う女性が応援に来ているな』ということもあったし、彼女が複数いたこともありましたね」と証言する。

 現在の西村被告は現役を続けながら、小中高生を対象とした空手のセミナーや講習会を全国各地で開催していた。2月には高校時代を過ごした宮崎県のスポーツ特別賞を受賞。積極的に普及活動を行っていた中で、武道家らしからぬ行為で汚点を残してしまった。