【昭和平成スター列伝】WWE2024年の名誉殿堂「ホール・オブ・フェイム」が4月5日にペンシルベニア州フィラデルフィアで行われ、日本人女子選手として初めて殿堂入りしたブル中野が登場。英語で「WWEユニバース(ファン)のみなさん、ブル中野を受け入れてくれてありがとう」などと涙ながらにスピーチし、世界中のファンを魅了した。

神取(左)をチェーンで攻めるブル

 1994年11月の東京ドーム大会でアランドラ・ブレイズを破り、日本人として初めてWWF世界女子王座を獲得した功績が認められたものだが、必殺技である最上段からのギロチンドロップのダイジェストが映像で流されると会場のファンを驚がくさせた。

 ブルといえばアジャ・コングとの金網デスマッチの死闘が記憶に残るが、ミスター女子プロレスとのチェーンデスマッチ(94年7月14日、東京体育館)も歴史に残る壮絶な名勝負だった。本紙はカラー面で女子頂上対決を報じている。

「ブルはチェーンで固めたパンチを容赦なく神取の右目に発射。神取の右目は潰れ大流血だ。ブルは場内をかっ歩して神取を攻める。神取もチェーンパンチ、チェーンスリーパーで反撃してブルの顔面を鮮血に染める。だがブルのコーナー最上段からのギロチン弾が爆発。しかも右足にはチェーンが巻かれている。血がしたたる右目にギロチン弾が直撃。神取の体が大きくはね上がった。そのまま沈むどころか体がジャンプするほどの衝撃弾を浴びた神取は右目を押さえのたうち回る。ブルはすかさずチェーンラリアートと延髄にもチェーンギロチン弾を発射。22分11秒、神取の女子プロ最強伝説は音を立てて崩れた」(抜粋)

 LLPWの大会ながら観衆は8300人超満員。大観衆が声を失う大壮絶戦だった。神取は救急車で病院へ。完敗だった。神取は「私が唯一プロレスラーと認めていた人なんだ。天龍さんのグーほどじゃないけどチェーンギロチンは効いたね。よく言うけど、負けたけどあれが私のベストバウト。あれ以上の試合はできない。WWE殿堂入りにふさわしいプロ中のプロだった」と殿堂入りを称賛した。

 ブルには誰とでもどこでもどんなルールでも自分のプロレスを貫く強さがあった。WWEも認めた日本人女子初の快挙は当然の結果でもあった。  
 (敬称略)