5着に敗れたドウデュース
5着に敗れたドウデュース

 現地時間30日に行われたドバイワールドカップデーは日本から[地]イグナイターを含む22頭(UAEダービーのサトノフェニックスは出走取消)が参戦したが、馬券発売のあった主要GⅠ4競走は海外勢の前にいずれも敗退。日本馬はUAEダービーをフォーエバーヤングが制した1勝のみで、改めて海外競馬の難しさ、厳しさを突きつけられた1日となった。

 ドバイワールドカップには4頭が挑戦。先行2頭が後続を大きく離し、展開的にも難しい競馬になったが、8馬身半離されながらも追い込んで2着まで押し上げたウシュバテソーロはしっかり地力を見せた格好だ。陣営はレース後、昨年に続いてブリーダーズカップへの参戦を表明。この2着でイクイノックスの獲得賞金を抜いて単独1位となっただけに、米国遠征へ準備を整え、その立場に恥じない競馬を見せてほしいものだ。

 GⅠ馬4頭が挑んだシーマクラシックでは、1番人気のリバティアイランドが直線で追い込むも3着。前に有利な流れになって位置取りの差もあったとはいえ、いつもの末脚を披露することはできなかった。まだ経験の浅い4歳牝馬だけに今後の糧にはなったかもしれないが、世界の超一線級相手では力不足の印象も残る。招待のあった香港のクイーンエリザベスⅡ世カップの辞退が発表されて次走は未定。世界で戦うにはもう一段階レベルアップが必要になってくる。

 一方、さすがと思わせたのが2着に入ったシャフリヤール。藤原調教師が「パフォーマンスを上げるというよりも能力を引き出す調整」と話していたように陣営の豊富な海外経験も大きかったか。同じことはフォーエバーヤングの矢作厩舎にも共通。同馬はケンタッキーダービーへ向かうが、海外遠征では経験値の差が大きくモノをいうのは間違いない。

 ドバイターフは期待されたドウデュースが5着に敗れたものの、ナミュールが2着善戦。ドウデュースは発馬で後手に回って道中も狭いスペースに入り、直線もなかなか外へ出せずに不完全燃焼のまま終わってしまった。

 ここで改めてクローズアップされるのが昨年の年度代表馬イクイノックス。ドバイで結果を出し、帰国初戦の宝塚記念も遠征の疲れが残る万全ではない中で勝ち切ったように真のスターホースだった。川田が「(イクイノックスは)日本史上で一番強いと僕自身は思っている馬ですので」と話していた通り、今回、ライバルとも言われたドウデュースとリバティアイランドが結果を出せず、その差が、つまりはイクイノックスが別次元のレベルだったというのが浮き彫りとなった。

 いずれにせよ、“現役トップ2”が物足りない競馬だったのは事実。秋にかけ、国内の古馬王道路線は混沌としてきたとも言える。

著者:難波田 忠雄