98年の桜花賞はファレノプシスの強さばかりが目立った
98年の桜花賞はファレノプシスの強さばかりが目立った

【記者が振り返る懐かしのベストレース】無傷の4連勝を狙った前哨戦チューリップ賞でファレノプシスは4着敗戦。直線で前が詰まる不利が致命的だった。これで桜花賞の勢力図は混沌。数日後には厩舎所属の主戦・石山から武豊に鞍上がスイッチされる。

「繁(石山)にはかわいそうだが、失敗したから替えないと仕方なくなった。意外にも武豊が空いていたんだよね。電話したら“僕でいいんですか”って。自信はあったしこの時点で勝ったと思った」(浜田光正調教師)

 そして迎えた本番の桜花賞。4角を6番手で通過したファレノプシスは逃げるロンドンブリッジを目指して直線矢のような伸び。1馬身1/4差きっちりと差し切り、1分34秒0の優秀なタイムで桜の女王に輝いた。

 しかもテンからハイラップを刻む厳しい競馬。2着に粘ったロンドンブリッジも強かったが、差し切ったファレノプシスの強さもまた際立った。

「無敗で桜花賞に出て勝ちたかったけどね。でも、あの小さい体でこれだけの大仕事ができたのも勝負根性があったからだろうな」(同師)

 同年に秋華賞、00年にはエリザベス女王杯を制し、GⅠ3勝。まさしく名牝だった。(2008年4月9日付東京スポーツ掲載)

【1998年桜花賞】〝非情の乗り替わり〟武豊ファレノプシスが矢のような伸びで混沌桜戦線を制す

著者:東スポ競馬編集部