藤井勘一郎元騎手がドンカスターマイルをリポート

オオバンブルマイの吉村調教師と藤井勘一郎(藤井勘一郎氏提供)
オオバンブルマイを管理する吉村調教師(左)と筆者(藤井勘一郎氏提供)

 読者のみなさんこんにちは、藤井勘一郎です。今回は、6日(土)にオオバンブルマイが出走した豪GⅠドンカスターマイルの観戦記をお届けしようと思います。

 昨年11月のGⅠゴールデンイーグルに引き続き、今回も岡浩二オーナーから「現地で一緒に応援してくれる?」と直接声を掛けていただき、チームに入ることになりました。私はレースの数日前に現地・オーストラリアに入り、決戦前日にカンタベリーパーク競馬場で行われたオオバンブルマイの調教を見届けました。

「(オオバンブルマイは)検疫で1頭でも全然動じないタイプです。脚元も心配がないので全く手がかからない優等生です」と吉村調教師の口ぶりからはレースに向けて順調な様子がうかがえましたし、追い切りに騎乗したレーン騎手からも「ランドウィック競馬場にも適応した走りでしたし、スピードを上げた時の反応が素晴らしかったです」と自信にあふれるコメントを聞かせてもらえました。ただ、こちらの馬場は雨が降ると日本よりもタフな馬場になるという心配があるだけに、木曜日から金曜日にかけての大雨予報が気がかりでしたね。

決戦当日の朝まで降り続いた大雨

オオバンブルマイ・パドック(藤井勘一郎氏提供)
パドックを周回するオオバンブルマイ(藤井勘一郎氏提供)

 実際、レース当日の朝まで降り注いだ雨は24時間で170ミリですから、関係者が開催中止になるかもしれないと心配するほどの雨量でした。幸い8時ごろから晴れ間がのぞき始め、なんとか開催することができました。当初トラックの発表は「ヘビー10」という最も重馬場の馬場状態でしたが、その後、回復して「ヘビー8」でレースを迎えることができました。

 オオバンブルマイは単勝3番人気とこちらのファンの注目もかなり集めていましたが、装鞍所やパドックでは落ち着いた雰囲気を見せていましたし、調教師のコメント通り、全てが順調に運ばれていましたが…。結果は勝ち馬から3・42秒差の13着に。中団でレースを運んでいたし、いいポジションにいるな、と思っていましたが直線で伸び切れず。レース後にレーン騎手は「道中は理想的な位置で運べましたが、直線では十分なスペースがなく、加速できませんでした。水曜日に追い切った時のほうが馬場が良くストライドが伸びていましたが、今日はそれよりも進路が確保できなかったのが敗因です」と振り返っています。

 レース後、オオバンブルマイの様子を確認しに行きましたが、カンタベリーの馬運車に乗るまでの1時間ほどの間引き馬でクールダウンされていました。吉村調教師は「直線で進路がなく厳しい競馬になりましたが、これでまだ7戦目ですし、これが今後の良い経験になってくれればと思います。厩舎に帰って状態を確認したうえで、次の香港(GⅠチャンピオンズマイル=4月28日、シャティン競馬場、芝1600メートル)に向けて調整します」とコメントしました。

 今回のドンカスターマイルでは結果が出ませんでしたが、オオバンブルマイは次の大一番へ向けての一歩を踏み出しました。ゴールデンイーグルで見せたパフォーマンスを香港で再現させてくれるように願っています。(元ジョッキー)

著者:東スポ競馬編集部