能登半島地震の緊急消防援助隊・神奈川県大隊に派遣された保土ケ谷消防署の消防士がこのほど本紙の取材に応じ、被災地での救助活動の様子を語った。

同署の消防士は計17人がそれぞれ、第1、2、3、6、8次派遣隊のメンバーとして派遣。能登町のやなぎだ植物公園を宿営地に1月9日から2月4日にかけて石川県輪島市町野町で人命救助を行った。行方不明者などの発見には至らなかったが、倒木や雪が積もる中で捜索にあたった。第8次派遣隊で県大隊長補佐を務めた佐島洋平さんは「倒壊した家屋や道中に落ちている衣類などを見て、皆さんを助けたいという思いがより強まった」と活動を振り返る。

断水の影響でほとんどのトイレが使用できなくなったことに加え、隊員は救助活動に専念するため、極力、トイレを我慢していた。トイレの問題のほか、体調不良になった隊員の隔離などにも苦労したという。

優しさに触れる

17人の消防士は、避難所で被災者とコミュニケーションを取る機会はなかったが、現地の人の優しさに触れたという。県大隊を乗せたバスの運転手が車内ではなく、広々とした場所で休憩できるよう、やなぎだ植物公園の職員が近隣の公民館を紹介。公民館を使うことはなかったが、第2次派遣隊で指揮支援中隊長を務めた亀井達三さんは「心温かく接していただき、隊員らの励みになった」といい、連日に及ぶ活動をやり遂げることができたと話した。