1月1日に発生した能登半島地震の被災地では、トイレ環境の悪化が報道された。茅ヶ崎市の災害時のトイレの備えは十分なのか、取材した。

内閣府は、「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」で「排泄回数は1人1日5回、3日分」の備蓄を目標としており、茅ヶ崎市でもこれをもとに整備を進めている。

直下地震の発生想定

茅ヶ崎市は、「発生確率が30年以内に70%」とされる都心南部直下地震(M7・3)が発生した場合、避難所への避難者数(1〜3日後)を2920人、帰宅困難者数(直後)を6390人(2015年県算出)と想定する。

そのうえで災害用トイレは、排泄物を凝固剤で固めて処理する携帯型を72万8900袋、簡易トイレ組立式を650個、仮設トイレ組立式(汲み取り)を356個、指定避難所となる市内32の市立小中学校のほか、第一カッターきいろ公園(中央公園)や野球場等に設置している防災倉庫に備えている。

自主的に備えを

市は「こうした備蓄で3日から1週間はもつ」とする。ただ、これらはあくまでも「避難所」での想定。実際には多くの市民が「自宅避難」をすることになることから「自主的な簡易トイレの備えが重要」とする。

そこで、みんなの防災展や市内各地区の防災訓練などの際に簡易トイレの備蓄の必要性を呼びかけるなど、周知啓発を進めてきた。

また、国や県が物資を届けるプッシュ型支援等が交通事情などによって遅れることも見込み、企業等と防災協定を締結している。ただし、328の各種災害協定の中に仮設トイレの調達に関する協定はなく、「今後の課題」としている。

市防災対策課では「食料の備蓄をしている人はいるものの、簡易トイレは少ない。最低3日分を備えてほしい」と呼びかけている。

また今年度は、県の被害想定の見直しのタイミングとなっていることもあり、市担当者は「備蓄数が適正かを見直し、先手を打って応援や協定にどのようにつないでいくかを想定していきたい」としている。