横浜市民ギャラリーが4月で開館60周年を迎えた。日本で初めて「市民ギャラリー」を冠した施設といわれ、横浜の芸術文化の発展を担ってきた。森井健太郎館長は「皆さまと共に作りあげてきた。今後も良い意味で粛々とその関係を守っていきたい」と話す。

横浜市民ギャラリーは1964年、桜木駅前の旧中区庁舎内に開設した。市民の芸術文化の振興を図ろうとした当時の市長の思いと安定した作品発表の場がほしいという市民の要望に応え誕生した、市内初の公設文化施設といわれている。

74年には関内駅前に移転。14年に現在の西区宮崎町に移った。

初代館長で詩人の山田今次さんが考えたとされる「市民ギャラリー」の名称通り、展示室は市民が美術作品を発表する晴れの舞台、アトリエは創作活動の空間として貸し出したり、企画展や講座など主催事業を行い、市民が身近にアートに触れられる場を設けてきた。

これまで収集されてきたコレクションは約1300点。年に1回テーマに沿って紹介している。

「横浜市こどもの美術展」は、半世紀以上続き夏の恒例に。自由な発想と豊かな表現を育み、健やかな成長を応援したいとの思いで応募された作品を全て展示する。

記念の取り組みも

開館60周年を記念し、ロゴが作成された。同館の刊行物や自主事業での使用はもちろん、利用者の印刷物に掲載を依頼し、広く発信していく。

また、エントランスホール内には「いりぐちギャラリー」を新設する。4月9日から6月24日までは「開館60周年の横浜市民ギャラリー」をテーマに、チラシや写真などの資料を展示し、開館以来の活動や歴史を紹介する。ほかに、例年行う事業に絡めて市民ともに周年を祝う。

森井館長は「今後も社会問題の解決に芸術文化がどう貢献できるのかという意識を持ち、運営していきたい」と話した。